関節リウマチは、40代に発症のピークがあり20〜30代も全体の2割を占めます。
若い女性であれば、将来的に妊娠を望む方も多いと思います。
関節リウマチの治療と妊娠は両立できるということ、今回は妊娠中も使用できる治療薬について取り上げてお話ししたいと思います☆
目次
妊娠中の関節リウマチの第一選択の治療薬は?
以前に書かせていただいた「授乳中に飲んでいい薬は?」でも述べたように日本の製薬会社が薬の安全性を保障するためには、臨床試験を行ってデータを集めなくてはいけません。
しかし、妊婦や授乳婦ではデータを集めることが難しいためほとんどの薬では安全性が担保されておらず使用しないことと記載されています。
そんな中でも使用されることが禁止されておらず(禁忌でない)、使用経験があり比較的安全性が認められていることから第一選択となっているのがアザルフィジン(サラゾスルファピリジン)です。
この薬はマイルドながら関節リウマチに効果があるのですが、葉酸の働きを阻害してしまいます。
葉酸が不足すると赤ちゃんの生まれつきの病気の可能性が高まることがわかっているため、葉酸と併用することが必須になります。
※海外では葉酸が不足することのないようにシリアルなど食品に添加されているというのだから驚きです。
通常10mg程度のフォリアミン(葉酸)を併用します。
注射薬や点滴の生物学的製剤は妊娠中に使える?
関節リウマチでよく用いられる注射の薬、いわゆる生物学製剤の中にも使えるものがあります。
エンブレル(エタネルセプト)とシムジア(セルトリズマブ)です。
構造が通常の抗体と異なるため、胎盤を通過しづらく赤ちゃんにも影響を与えにくいと言われています。
人工臓器移植で実績のある免疫抑制剤も妊娠中に使える!
関節リウマチは免疫の働きが強くなりすぎて自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患(膠原病)の一種です。
そのため治療には免疫の働きを抑える免疫抑制剤が使われます。
免疫抑制剤は人工臓器移植を受けた人では一生飲み続けることが必要です。
その過程で妊娠、出産を経験する方もいたため、ある程度のデータが蓄積しているのがタクロリムス、シクロスポリン、アザチオプリンです。
これらの薬は赤ちゃんの奇形の確率に影響しないことがわかっています。
※クローン病でこれらの薬を使用している方では奇形が増えたというデータがありますが、原因は薬ではなく、クローン病という病気自体なのではないかと考えられます。
今回は妊娠と両立できる関節リウマチ治療について書かせていただきました。
前回と今回で書ききれなかった情報についてまた次回も特集していきたいと思います^^
それではまた!

rina

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