2017年5月に新しく発売された小児ADHD治療薬、『インチュニブ』についての説明会に出席してきました。
今回はそこで学んだ内容についてまとめてみます☆

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もともと『インチュニブ』は『エスタリック』という高血圧の薬だった

インチュニブの成分であるグアンファシンは1984年に『エスタリック』という高血圧治療薬として発売されました。

α2A受容体を刺激し、血管を拡張させることにより、血圧を低下させる効果を持っています。
理由は不明ですが、エスタリックとしての2005年に終了しています。

そして2017年、新しく小児のADHD治療薬として『インチュニブ』という商品名で販売が開始されました。
非中枢性の薬であるため安全性が高く、処方医のeラーニングの必要がなく比較的手軽に使用できる特徴があります。

『インチュニブ』をADHD治療に使える人は?

承認されているのは6〜17歳のADHDの方で、大人への使用は現段階では認められていません。

ただし、インチュニブを服用していて18歳になった方は例外であり、誕生日を迎えた後も継続して使用することができます。
17歳までに飲み始めることが必要です。

『インチュニブ』を使って期待できる効果は?

ADHDの症状として不注意と多動性、衝動性があります。

多動性と衝動性についてはインチュニブの作用である傾眠により興奮が抑えられるため、おとなしくさせることができ、改善が期待できます。
授業が受けられず、学校生活に支障が出るなど困っていることがあれば、それがADHD治療開始のタイミングとなります。

インチュニブは他の薬と比べて効果の発現が早く、飲み始めてから1〜2週間で効果が期待できます。

『インチュニブ』と『コンサータ』や『ストラテラ』との使い分けは?

ADHD治療薬として『コンサータ』および『ストラテラ』がすでに発売されています。

副作用の関係からどの薬が患者に適しているのかを考えることができます。
コンサータやストラテラでは消化器症状の副作用が生じ、食欲減退の可能性があります。

子供が十分に食事をとれないことは成長の遅れに繋がります。
もともと食の細い痩せ型の方では成長に影響を与えないインチュニブの方が適していると思われます。

これに対してインチュニブはもともとが高血圧治療薬であるため低血圧の副作用が起こりやすくなります。

もともと低血圧の方ではさらに低血圧が悪化しめまいやふらつきの副作用が心配されます。
低血圧体質により朝が弱い方にも適さないでしょう。

※血圧の低下幅は5㎜Hg程度であり、服用中止をすれば元に戻ります。

以上より痩せ型ではインチュニブ、朝が弱い方ではコンサータ、ストラテラの使用が適しているとかんがえられます。

『インチュニブ』と『カタプレス』との違いは?

インチュニブと同様の働きを持つ薬に高血圧治療薬のカタプレスがあります。
適用外使用ですが、小林の勤務先ではチック症にも用いられており、脳神経への効果が期待され、ADHDにも効果があるのではないかと考えられます。

カタプレスとインチュニブの違いはα2A受容体の選択性です。
α2A受容体への効果の強さはカタプレスの方が強いのですが、2Bや2Cにも高い反応性を示します。
インチュニブは他のα受容体への反応性が低く、副作用のリスクを下げることができると考えられています。

以上新しいADHDの薬のインチュニブについてお伝えしました♪