最近、患者さまから相談を受けました。

高血圧の薬を飲み始めたらEDになってしまった

高血圧の副作用としてED(勃起不全)というイメージを今まで全く持っていなかったのですが、今回、患者さまにお答えするにあたって関連内容を勉強しました。

今回の記事では学んだ内容についてまとめたいと思います☆

スポンサーリンク




ED(勃起不全)とは?症状や定義は?

EDとは、

「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないかまたは維持できない状態が持続または再発すること」

上記のように定義されています。

検査値など客観的な判断ではなく、あくまで本人の自覚症状の訴えにより診断されるようです。

加齢とともにその有病率は増加し、40代以上の男性の3割が症状を自覚しており、70代では7割を超えているそうです。
特に糖尿病や高血圧である方は、疾患のない方と比較してEDのリスクが高いことがわかっています。

高血圧はEDのリスクを高める?原因?

メカニズムの面から、勃起と血圧には密接な関係があります。
海綿体(ペニス)に血液が流れ込み、その後静脈が圧迫されて、血液の流出が抑えられることにより勃起が維持されます。

高血圧の方では血管に負担がかかっているため、動脈硬化など血管にダメージがあり、海綿体への血液の流入が十分にできません。
さらに降圧薬を使用することで、海綿体に入ろうとする圧力が下がり、EDの自覚症状が悪化します。

薬を飲むようになってからEDの症状の悪化が見られた場合、これは薬のせいに違いない!と感じられると思うのですが、そもそも高血圧がEDの大きなリスクであるため、薬をやめたとしても回復するとは限りません。

高血圧であることはEDだけではなく、脳卒中や心不全のリスクを高くすることにもつながります。

降圧薬の中でもEDに与える影響が少ないと予測される薬を選択し、高血圧の治療は継続したほうが良いのではないかと考えます。

EDのリスクが少ない血圧の薬は?

EDに関する研究はその論文によって結果が異なっており、一致した見解がないのが現状です。

グループごとの比較では、利尿剤とβ遮断薬の服用患者では、Ca拮抗薬、ACE阻害薬、ARBよりもEDに悩む方が多いという報告があります。

また、ARBのロサルタンとバルサルタンはEDを改善したとの報告があります。

あくまで参考レベルですが、少し紹介させていただきました。

こちらの記事では、ED治療薬の違いについてまとめています。

今回お話しくださった患者さまには、貴重な学びのきっかけをいただきましたし、デリケートな相談をしてくださったことも、とてもうれしく感じました^^
患者さまに信頼していただけるようにこれからも努力していきたいなと改めて思いました♪

それではまた!

The following two tabs change content below.
rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。