先月の三連休に日本薬剤師学術大会に参加してきました。
今回はそこでの講演内容についてお伝えしたいと思います(^^)
いくつかテーマはあるのですが、まずはアルツハイマー型認知症の話題から取り上げたいと思います。
アルツハイマー型認知症とは
アルツハイマー型認知症とは、異常なタンパクが脳で増えることにより、認知機能の低下を起こす病気です。
現在、65歳以上の4人に1人が認知症、またはその全段階の軽度認知障害であり、その原因の半分以上をアルツハイマー型認知症が占めています。
現在の日本では、平均寿命が男性80歳、女性87歳ですが、介護や入院など健康上の問題がない健康寿命は、男性70歳、女性75歳であり、約10年間の差があります。
介護が必要となってしまう原因の2位は認知症です。
健康寿命を延ばすためには認知症の改善が重要です。
現在の認知症治療
現在、認知症の治療薬として、3種類の飲み薬と1種類の貼り薬が使われています。
この内の1種類、メマンチンは、被害妄想など興奮的な症状を抑える薬で中等度以上の認知症で使われます。
残りの3種類はアセチルコリンエステラーゼという酵素を阻害して元気を出させる薬で、認知症の進行度に限らず使うことができます。
これらの薬はすべて認知症の進行を抑える薬であり、根本的に治すものもではありません。
認知症の薬の比較についてはコチラから。
しかし、治せないからといって意味がないものではありません。これらの薬を使用すると認知症の進行を1〜2年遅らせることができ、その期間分の介護費を減らすことができます。
日本全体で見ると薬を使用することで1兆円の節約になると概算されています。
最新の治療法の研究
アルツハイマー型認知症の原因は、脳で異常なタンパクが蓄積した結果、脳神経が死んで神経伝達物質(アセチルコリン)が減ってしまうことだと言われています。
現在の治療では対処療法的に減ってしまったアセチルコリンを増やす薬が使われています。
これに対して今研究されているのが、異常タンパクを取り除いて根本的にアルツハイマー型認知症を改善する薬です。
先の臨床試験では認知症の患者に用いられ、異常タンパクの除去に成功したものの、認知機能の改善が見られず、芳しい結果を得ることができませんでした。
これは、原因を取り除いても、その時点で既に神経細胞が死んでしまった後であったためと考えられています。
現在、認知症の前段階の方を対象に再度臨床試験が進められています。
これから10年以内には画期的な薬が登場し、認知症が予防、完治できるようになると思われます。
今回はアルツハイマー型認知症についてお話しさせていただきました。
それではまた(^^)

rina

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