子供は何でも口に入れてしまいますよね。
口に入れることで質感や形、味などを感じており、大事な学びであるとは言われていますが、大人としては危険なものを食べてしまわないか、とてもとても心配だと思います。

今回は食べてはいけないものを間違って食べてしまった場合の対処の仕方についてお伝えします。

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食べてはいけないものを食べてしまった(誤飲)場合の対処法

間違ったものを食べてしまった場合、病院を受診することが大事です。
ですが、病院にかかる前に応急処置として取るべき対処法は大きく3つが挙げられます。

①吐かせる
②薄める
③何もせず、すぐに病院へ行く

食べてしまったものによってどの選択肢が最適なのかは変わってきますので、これから解説させていただきます。

対処法①:吐かせる

吐かせた場合に、食道を傷つける恐れのないもの、中毒が心配されるものなどは、病院に受診する前に吐かせることが応急処置として最も適した対処法となります。
燃料などは蒸発しやすく、気管や肺に入ってしまい、重症化させてしまう可能性があるため吐くことはお勧めできません。

吐かせて良いもの:たばこ、お酒、カフェインなど

対処法②:薄める(水や牛乳を飲ませる)

強アルカリ性や強酸性の洗剤などは、吐かせてしまうと食道にダメージを与えてしまいます。
このようなものは、水や牛乳を飲ませることでpH(ペーハー)が中性に近づき、毒性を弱めることができます。

水や牛乳を飲ませてよいもの:カビ取りハイター、漂白剤など

対処法③:すぐに病院へ行く

吐かせるのも薄めるのもダメなものであった場合には、すぐに病院へ行って下さい。
専用の器具を使って取り出したり、解毒剤を使用したり、食べてしまったものに応じて最適な処置を受けることができます。
飲み込んでしまったものが、全量ではなく一部でも残っているのならば、それも病院へもっていき、見せるようにしてください。
何を食べてしまったのか説明するよりも、現物を見せる方が迅速に理解してもらえます。

意識を失っている場合やけいれんを起こしている場合には、時間との勝負になります。
すぐに救急車を呼んで病院へ向かってください。

すぐに病院へ行くべきもの:殺虫剤、灯油、シンナー、マニキュア、電池など

特に応急処置に注意が必要なもの

次に身近に存在し、誤って食べてしまう可能性が高く、かつ応急処置に注意が必要なものについて個別に解説します。

タバコは水を飲ませてはいけない

タバコは身近に存在しますが、子供が誤って1本食べてしまっただけで、死に至る可能性があります。
タバコの有害成分は水に溶けやすいため、間違った応急処置として水を飲ませてしまうと吸収が早くなり、重症化させてしまう原因となります。

たまに灰皿に水が入っており、吸い殻が浮いているものを見かけます。
これを飲んでしまった場合には、さらに早急な対処が必要になります。
すぐに吐かせて、病院を受診することをお勧めします。

電池は時間がたつと危険

最近は充電式ワイヤレスの家電が増え、ボタン電池の活躍は減ってきました。
ボタン電池は小さくコンパクトで飲み込みやすいですし、登場機会が減ったから今こそ、注意が必要なものであると思います。

電池は飲み込んでしまった後、消化管の壁に貼りついてしまうことがあります。
同じ場所にとどまってしまうと、電池から漏れ出た成分が消化管の壁を傷つけ、最終的に穴をあけてしまう可能性があります。

飲み込んでしまってから1時間以内などの、直ちに悪影響が出るものではありませんが、病院を受診し専門の方に取り除いてもらうことが必要です。

灯油、ガソリンは薄めるのも吐かせるのもダメ

灯油やガソリンなどの燃料に使われる液体は、蒸発しやすく、吐かせてしまうと気体になった成分が肺や気管に入ってしまい、ダメージを与えてしまいます。
また、油系のものは牛乳を飲ませることで、吸収が良くなってしまうため、薄める手段もお勧めできません。

なにもせずに、早く病院に行くことが最優先です。

今回は食べてはいけないものを口にしてしまった場合にとるべき応急処置についてお伝えしました。
大人が食べてはいけないものを口にしてしまうケースはなかなかないと思いますが、なんでも口にしてしまうお年頃のお子さんが誤飲してしまった場合にも今回の内容を役立てていただけたら幸いです。

編集記

先日、友人から電話をもらいました。

猪の焼き肉をしていて生で食べてはいけない部分を食べてしまった。
ネットで調べたら肺を片方切除した人もいるらしい、とか書いてある!どうしよう???

生肉を食べて肺切除?そんなバカな・・・と思いつつ、知識がないのに無責任なことを言ってはいけない!と思い、関連情報を調べました。

今回の友人に関しては、食べたものは肉ですから、吐いてしまっても食道に傷をつける心配はありません。
蒸発することもありませんので、気管に入ってしまう可能性も高くありません。
pHもおそらく中性でしょう。

このことから吐くという手段が最適だと考えられます。

ちなみに、猪肉を生で食べた場合に怖いのはE型肝炎と大腸菌感染、つまり食中毒です。

同じものを食べてもすべての人に起こるわけではなく、胃や腸内でウイルスや細菌などの病原体が死滅せず増えてしまった場合に発症します。
そして体が病原体を外に出そうとして、治そうとして起きてくる症状が下痢と嘔吐です。

つまり、端的に言えば食中毒は病原体を体の外に出してしまえば治ります。

今回の場合には、心配ならそもそも病原体が体の中に入るのを防げ!もう早く体の外に出せ!ということで吐いてしまうことをお勧めしました。

そして吐き気や下痢が症状として現れても、決して吐き気止めや下痢止めを飲まないように伝えました。
※食中毒の予防については、過去のO-157に関する記事もご覧ください。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。