ジェネリックの使用が勧められるのは国の方針や薬局の利益が絡んでくるからです。

詳しくはこちらの記事からどうぞ。

私の個人としては、国や薬局の思惑があるとはいえ、最終的に先発医薬品かジェネリックかを選択するのは患者さまの自由だと思っています。
※2018年の薬局報酬の改定により、国のジェネリック使用の推進がさらに強くなったため、先発品を希望するのはさらに厳しい状況になっています。

しかし、一部の患者さまより

希望を聞かれず勝手にジェネリックにされてしまった
本当はジェネリックではなくて元のブランドの薬がよかったのに・・・

というお話を伺うことがあります。

今回は
・どうして勝手にジェネリックに変更されてしまったのか
・先発品で出してもらうためにはどのようにしたら良いのか
についてお伝えしたいと思います。

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どうしてジェネリックに変更されてしまったのか?

先の記事でお伝えしているように、国の方針としてジェネリック医薬品の使用が推奨されており、それを実現しやすくするための決まりが作られています。

その決まりの1つに、処方箋の書き方が絡んできます。
処方箋には個人個人に合わせた治療薬とその使い方が記載されますが、治療薬の記載には3つの方法があります。

・商品名(先発医薬品)を書く場合
・商品名(ジェネリック医薬品)を書く場合
・成分名を書く場合(一般名処方)

順にお話していきたいと思います。

商品名(先発医薬品)を書く場合

現在は、3つ目の一般名処方が推奨されていますが、それでも根強い方法がこの商品名での処方の仕方です。
古い時から使われており、医療者にも患者さまにも慣れ親しんだ形式かと思います。

現役の医療関係者は、一般名処方やジェネリックにも対応しなくてはならないため、薬の成分名を伝えれば話が通じますが、以前は薬の名前といえば商品名を言うのがスタンダードであり、成分名を伝えてもわかってもらえないこともありました。

先発医薬品の名前が処方箋に記載されている場合、患者さまの希望で先発医薬品とジェネリック医薬品を選ぶことができます。
勝手にジェネリック医薬品に替えられるケースは少ないと思われます。

逆に、ジェネリック医薬品を選ぶことのできない例外もあります。
処方箋にジェネリック医薬品変更不可印が記載されている場合です。

保険制度上の適応や治療方針の関係で、医師が先発医薬品を使用してもらいたいときや、患者さまがジェネリック医薬品を使いたくないと医師に相談したときに、処方箋に記載がされてきます。

商品名(ジェネリック医薬品)を書く場合

ジェネリック医薬品の名前が処方箋に記載されている場合、先発医薬品に変更することはできず、ジェネリック医薬品でお渡ししなくてはなりません。
先発医薬品に変更したい場合には、医師に確認をとる必要があります。

ジェネリック医薬品は、処方箋にその製造会社まで指定されていることが普通ですが、これは薬局にある製造会社のものに変更してお渡ししてよいことになっています。

患者さまがジェネリック医薬品の製造会社まで指定することはできません。
※どうしても、と交渉すれば応じてくれる薬局も一部あるかもしれません。

同じ成分のジェネリック医薬品は多いものでは20種類以上発売されてますし、その薬局と取引のない製造会社もあるので、薬局ですべてのメーカーを在庫することは不可能であることがその理由です。

成分名を書く場合(一般名処方)

処方箋に成分名を記載する方法を「一般名処方」と言います。
この一般名処方では基本的にジェネリックをお渡ししなくてはならない、というルールがあります。
薬局で一般名処方を先発医薬品でお渡しした場合には、その理由を記録しなくてはなりません。

このルールがあるため、薬局によっては患者さまの希望を聞かずに、ジェネリック医薬品でお渡ししてしまうところもあります。
このような対応をしている薬局では、そもそもジェネリックしか取り扱っておらず、先発品の在庫を置いてないことがあります。

先発品で出してもらうためにはどのようにしたら良いのか

ここからは薬を先発品で受け取るための方法についてお伝えします。
基本的には処方箋がどの書かれ方をしていても、薬局の受付で言うことは同じです。

ジェネリックで書かれているものも先発品で調剤してほしい」と伝えましょう。

伝えることは同じですが、処方箋の書かれ方によって薬局のスタッフがしなくてはならない手順に違いがあるため、対応にかかる時間(待ち時間)がかわります。

商品名(先発医薬品)を書く場合

特に処方医への連絡や確認もなしに先発品で出してもらうことができます。
在庫があればすぐに対応可能なため、特別に時間がかかることはないでしょう。

商品名(ジェネリック医薬品)を書く場合

ジェネリックで処方箋に記載されている場合、薬局の権限で先発医薬品に変えることはできません。
必ず処方箋を書いた医師への確認が必要になります。

上記のような伝え方をすれば、薬局のほうで処方医に電話やFAXで連絡を取って了承を取り、先発品で出してもらうことができます。
10分程度はいつもの待ち時間から追加でかかってしまうと見込んでおいたほうがよいでしょう。

成分名を書く場合(一般名処方)

特に処方医への連絡や確認もなしに先発品で出してもらうことができます。
在庫があれば特別に時間がかかることはないでしょう。

薬の在庫がないと言われたら…

先発品で薬を出してほしいと伝えた場合に、「在庫がない」と言われてしまうことがあります。
「在庫がない=ほかの薬局に行ってくれ」と受け取りがちだと思いますが、通常は欠品してしまった場合には取り寄せの対応を取ります。

※一部の抗がん剤や免疫抑制剤、肝炎の薬など高額なものは薬局の財政状況により、取り寄せも不可能である場合があります。

薬の在庫がないといわれても、早ければ当日中に遅くても数日以内に入荷することができます。
後日薬局へ取りに来ていただくことも可能ですし、家に郵送してほしい、届けてほしいなどの希望にも対応することができます。

少し時間がかかってしまっても先発品がいい!という強い意志を持つ方は希望を伝えてみるのも一つの選択肢でしょう。

それでは、また!

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。