早いもので今日は大晦日・・・
今年も終わりですね。
私は今、両親と姉夫婦の住む実家へ里帰りをしています。
実家には、3年前に脳梗塞で倒れたおばあちゃんも同居しています。
今回の記事では、実家でおばあちゃんと接して感じたことを記事にしたいと思います。
目次
おばあちゃんは認知症
私のおばあちゃんは今年76歳になりました。
10年ほど前におじいちゃんが亡くなってからは、実家から車で10分程度の場所で1人暮らしをしていましたが、3年前に脳梗塞で倒れたことをきっかけに、私の実家で両親と同居を始めました。
脳梗塞の発見、治療が迅速だったため、3か月の入院とリハビリを経て、退院する頃には歩けるようになるまで回復することができました。
入院中治療を担当してくださった医師の見立てでは、一人暮らしをしても問題のない、体の自由と認知力があるとのことでした。
しかし、脳梗塞で倒れてから1年半、徐々に認知症の症状が出始め、生活に支障が出てきたと、世話をしている母から時折話を聞くようになっていました。
短時間(数時間)接しただけでは認知症かどうかわからない
「認知症」というと、会話の内容が支離滅裂で意思疎通ができないというイメージを持っていました。
きっとおばあちゃんに会っても、孫である私のことはわからないかもしれない…
そんな気持ちを持ちながら実家へ帰りました。
しかし、実際に会ってみると、おばあちゃんはもちろん私のことを覚えていたし、「また綺麗になったね」とほめてくれたのです。
東京での生活の話をした際にも、おばあちゃんはにこにこしながら、私の話を聞き、「すごいねえ!偉いねえ!」と相槌を打ってくれました。
ご飯を作ってもらったり、洗濯をしてもらったり、やってもらうこと全てに感謝の気持ちを述べて、物静かに幸せそうに座っているおばあちゃんは、穏やかな優しいお年寄りそのもので、認知症だと疑うような要素は一切ありませんでした。
食事の席でのゲーム”いっせーせーの”で認知症を実感
家族忘年会で鰻を食べに行った時のことです。
姪が料理の出てくるまでの間、ゲームをやろう!と提案しました。
道具を使わずに手だけでできる簡単なゲーム”いっせーせーの”です。
ルールは下記のとおりです。
1.先攻を決め、3人以上なら時計回りに行うか反時計回りに行うかを決める。
2.参加者が向き合い(あるいは円になる)、両手をじゃんけんの「グー」を縦にした形で前面に出す(親指が上になるように出す)。
3.自分の番が来たら、「いっせーの○(○は、0 – 全プレイヤーの親指の合計本数のうちの任意の数字)」などの掛け声を言う。それと同時に各参加者は任意で0 – 2本の親指を立てる。
4.立った親指の合計数が、指定した数に同一ならば数字指定者は片手を下ろすことができる。下ろした手はゲームに参加しない。
5.次のプレイヤーが3 – 4の動作を行う。終わったら、また次のプレイヤーが3 – 4の動作を行う、というふうにこの動作を繰り返していく。
6.先に両手とも下ろせた者から上がりとなる。引用元: Wikipedia 手を用いた遊び
5歳の姪は完璧にルールを理解し、時折後出しなどのあざとい手を使いつつ(笑)、ゲームを楽しんでいましたが、どうやらおばあちゃんには難しかったようです。
何度説明しても親指以外の指を挙げてしまったり、いっせーせーの!と言った後に数字を言わなかったり、指を後から上げ下げしてしまったり。
説明された場合に「うんうん」とうなづいてくれるので、そのときには理解したんだなと思いましたが、同じ間違いを何度も繰り返し、理解できていないことがわかりました。
取り繕って分かっているふりをしている
今回のことで分かったのは、おばあちゃんはわかっているふりをしているということです。
東京での生活の話をした時のことをよくよく思い返してみても、返ってくる相槌は当たり障りのない誉め言葉だけで、内容を確認するような質問や自分の意見は全くなかったことに気づきました。
このわかっているふりというのは、認知症の症状の有無を見分けることをとても難しくすると思います。
医療者として高齢の患者さまと接する際に気を付けたいこと
今回、私は両親からおばあちゃんは認知症だと聞いていたにもかかわらず、会話の中からは症状を全く感じ取ることができませんでした。
ゲームを通しておばあちゃんの認知症の症状に気づくことができたものの、会話の節々から認知症の兆しを見つけるのはとても難しいのだと感じました。
家族の人の介護に費やす労力は、他人が見えているよりもずっと大きいものなのではないかと改めて気づかされました。
これは私のおばあちゃんだけに当てはまるのではなく、薬局に訪れる患者さまにも言えることかと思います。
数分という短時間のお話の中だけで、認知症の兆しを見つけるのは不可能に近いくらい難しいことではないかと思います。
高齢の患者さまや認知症のお薬を使用されている患者さまには、理解度を測るための質問をまじえながら、より一層丁寧な対応をしていくことが必要ですし、ご家族のご苦労にも寄り添えるような対応が大事であると思いました。

rina

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