現在、認知症の薬として4種類が承認されています。
これらには、どのような違いがあるのか、使い分けの仕方や特徴についてお話します。

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現在使える認知症の薬

2018年1月現在、認知症の改善のために使われている薬は、4種類5品目あります。
1種類ごとにその特徴をお伝えします。

ドネペジル(アリセプト)の特徴

日本で1番最初に販売された認知症の薬です。
ジェネリック医薬品も発売されていて、安い負担金で使用できます。

錠剤だけでなく、粉やゼリーなど多くの財形が販売されています。
特に珍しいのがゼリーです。

ゼリーは、むせる心配がなく、飲み込みが悪い方にも使えます。
甘さ控えめのレモン味で、薬にしては珍しくおいしいです。

ガランタミン(レミニール)の特徴

レミニールは、作用時間が短く、1日2回飲むお薬です。(アリセプトは1日1回)
薬の効く時間が短いため、介護者の負担は大きいのですが、薬の耐性ができずらく、長く効果を実感できる可能性があります。

リバスチグミン(イクセロン、リバスタッチ)の特徴

イクセロンとリバスタッチは、他の薬とは違って飲み薬ではなく、張り付けるタイプのお薬です。
飲み込みが悪い方や自分で薬の管理ができない方に適しています。

飲み薬と比べて、血中の薬の濃度の上下がゆるやかになるため、気持ち悪さなどの副作用が起こりづらいようです。
テープ剤ですので、毎日同じ場所に貼ってしまうと、かぶれの副作用の原因となります。
少しずつ貼り付け場所はずらすことが必要です。

メマンチン(メマリー)の特徴

上記の3種類とは、作用のメカニズムが異なるため、他の薬で効果が見られなかった人にも効く可能性があります。
他の3種類の薬との併用も可能です。

中等度以上の認知症の方に使われます。

作用のメカニズムの違い

コリンエステラーゼ阻害薬

アリセプト、レミニール、イクセロン、リバスタッチは、同じ作用のメカニズムを持っています。

認知症には、アセチルコリンという物質がかかわっています。
アセチルコリンは、神経同士の情報伝達に必要な物質ですが、認知症の方ではこの物質が少なくなっています。

これを増やすために、アセチルコリンエステラーゼというアセチルコリンを分解してしまう酵素を邪魔するのがアリセプト他4品目のお薬です。

それぞれ作用の仕方には特徴があるものの、基本的には同じ場所に作用するため、この中からは1種類しか同時に使うことはできません。

NMDA受容体拮抗薬

メマンチンは、他の薬と異なるメカニズムを持っています。

認知症の方では、脳内でグルタミン酸が異常に多い状態になっています。
グルタミン酸は、記憶に大事な成分ですが、多くなりすぎることによってノイズとなってしまいます。

このグルタミン酸を適度に邪魔するのが、メマンチンです。

他の認知症の薬とは、作用のメカニズムが違うため、一緒に使うことができます。

今回は、認知症の治療薬4種類とそのメカニズムについてお伝えしました。
皆様の参考になれば幸いです。

編集記

私には、脳梗塞から認知症を発症した祖母がおります。
おばあちゃんには認知症の薬が必要なのか?、と考えた際に調べた結果をまとめました。

これまでのおばあちゃんに関するお話はこちらから。

認知症のおばあちゃんの話

認知症は治療すべきなのか?

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。