記録的な寒波が訪れ、湿度の低い日が続いていることから、インフルエンザが大流行していますね。
そんな中、新しい作用のメカニズムを持つインフルエンザ治療薬が2018年5月に販売されると発表されました。

今回の記事では、インフルエンザの新しい薬『ゾフルーザ』についてまとめます。

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インフルエンザの新薬『ゾフルーザ』の特徴は?既存の薬との違い?

現在、インフルエンザの治療薬として4品目が発売されています。
ゾフルーザは、これらに続く5番目のインフルエンザ治療薬で、新しい作用の仕方をします。

※パーキンソン病でも使用されるシンメトレルもインフルエンザに適応を持ちますが、A型にしか使用できず、耐性ウイルスも多いため、ほとんど使用されていません。
※アビガンも承認されていますが、緊急時でしか使用できず、市場には出回っていません。

治療が遅れても効果がある可能性!

先に承認されている、タミフルをはじめとする4品目は、ノイラミニダーゼ阻害という同じ作用をします。
インフルエンザウイルスは、体内に入ると、ヒトの細胞内に入り込み、細胞内で増えた後に再び細胞外に出てきます。

タミフルなどの既存のインフルエンザ治療薬は、インフルエンザウイルスが細胞から出てくるのを邪魔することにより、効果を発揮します。
このため、インフルエンザにかかってから時間がたってしまうと、すでにウイルスが細胞から出てきてしまい、効果を十分に発揮することができません。

※48時間以内に薬を飲む必要があります。

一方、ゾフルーザは、新しい作用の仕方を持ち、インフルエンザウイルスが細胞内で増えることを邪魔します。
インフルエンザウイルスが増えてしまった後でも、効果を発揮できる可能性が期待されています。

ゾフルーザの使い方は簡単?

1回薬を飲むことで治療が完了します。
現在、発売されているインフルエンザの飲み薬は、タミフルとリレンザの2種類がありますが、これらは1日2回5日間使う必要があります。

1回のみの使用でよいため、飲み忘れの可能性がなく、治療が簡便です。

※飲み薬ではありませんが、吸入薬のイナビル、点滴薬のラピアクタも1回のみの治療です。

異常行動との関連性

既存のインフルエンザ治療薬では、異常行動が報告されています。
この原因が、治療薬によるものであるのか、インフルエンザの合併症であるインフルエンザ脳症によるものなのかは、現在分かっていません。

ゾフルーザは、新しい作用をもつ薬であるため、異常行動の発現を減らすことができるかもしれません。(逆に増える可能性もありますが…)

最後に

インフルエンザの新薬ということで、発売前からニュースでも大きく取り上げられ、期待されているゾフルーザですが、まだまだその効果は未知数ですし、使用経験も臨床試験のみで多くはありません。
過大評価しすぎずに、他の薬と同様に、必要時に慎重に使用していくことが大事だと考えます。

続報を待ちましょう!

それでは、また^^

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。