今年も花粉症の季節がやってきました。
くしゃみに鼻水、目のかゆみなどに悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

昨年は花粉の飛散量が極端に少なかったようですが、今年は昨年の倍の量、平年並みの量の花粉が飛ぶと予想されています。
スギにヒノキにブタクサ、イネ、複数の植物にアレルギーを持つ方では体の休まる暇がないですよね。

花粉症の薬を飲まなくても済むようになりたい
花粉症を根本から治したい
アレルギーの薬を飲んでも改善しない症状を軽くしたい

今回の記事では、上記のような要望に応える薬、シダトレンについてご紹介します。

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花粉症を根本的に治す減感作療法とは?

専門的な言葉で言うと、『減感作療法』といいます。

昔、王族などの偉い人たちは毒で暗殺される可能性がありました。
そのため、子供のころから少しずつ毒を飲んで体を慣らし、いざ毒を盛られたときに死なない体を作っていました。

また、現代でもピーナッツアレルギーの治療として、少量から口に入れ、徐々に食べられる量を増やしていき、最終的にお菓子や加工食品などの原料として入っているくらいの量であれば、アレルギーが起こらない体質に改善させる方法が検討されています。

このような話を聞いたことはありませんか?
原理はこれと同じです。

少量ずつスギ花粉を体の中に入れていくことにより、体を慣らし、花粉にアレルギー反応を示さない体質にしていきます。
スギ花粉のエキスが入ったこの薬は『シダトレン』といいます。

従来の治療との違いは?

花粉症の治療は、抗ヒスタミン薬というアレルギーの症状を飲んでいるときにだけ抑える対処療法が一般的です。
有名なものでは、アレグラやアレジオンが例として挙げられ、処方箋なしでも街のドラッグストアやインターネットで購入することができます。

これに対して、シダトレンは根本的にアレルギー症状を改善する根治療法です。
治療後は薬をやめても花粉症の症状を抑えておくことが期待できます。

また、シダトレン開発前から、注射による脱感作療法がおこなわれてきました。
注射ですので、病院に頻繁に通院しなくてはならず、また一気に血中に入ってしまうため、アナフィラキシーショックの危険性が高く、敷居の高い治療でした。

シダトレンの副作用についてはこちらの記事で解説しています。

今回、飲み薬となったことで、通院も比較的少なく、安全性も高く、万人に挑戦しやすい治療法となりました。

シダトレンの飲み方

シダトレンは液体の薬ですが、飲みこんで腸から吸収される薬ではありません。
口の中の粘膜から直接体内に吸収されます。

2分間口の中に含み、その後飲み込むのが正しい飲み方です。
もし、シダトレンを飲むことによって胃の不快感などを感じられるようであれば、2分間口の中に含んだ後吐き出しても構いません。

治療中に花粉症薬は使える?

シダトレン治療中には、花粉症のシーズンを2回越さなくてはいけません。
シダトレンは今起こっているアレルギー症状を鎮めてくれる薬ではないので、つらい症状がある場合にはアレルギー薬の併用も考えるかと思います。

アレルギー薬として、アレグラやクラリチンなどの抗ヒスタミン薬と呼ばれるグループの薬は使用できます。
点鼻薬や目薬も使用できますが、プレドニンやプレドニゾロンなどの経口のステロイドは、シダトレンによる治療に影響を与えてしまうため、使用できません。

また、治療を始める前にスギ花粉症の確定診断のためにスクラッチ(皮内)テストを受けますが、この試験の1週間前からは抗ヒスタミン薬は中止する必要があります。

治療期間やかかるお金は?

約1年半(72~83週間)、毎日シダトレンを使用し、治療をすることが求められます。
花粉シーズンの始まる前から開始するため、治療期間中に2回シーズンをまたぐことになります。
保険適応の3割負担で大体1500円弱が薬代としてかかり、病院の受診と合わせると月3000円程度が必要だと予測されます。

また、シダトレンを保険で使うためには、スギ花粉症の診断を受ける必要があり、検査代もかかります。

シダトレンは花粉症の人すべてに有効なのか?

シダトレンはスギ花粉の抽出エキスが原料です。
そのため、効果を発揮するのもスギ花粉症に対してのみで、ヒノキやブタクサ花粉症には効果がありません。

ですが、日本人の花粉症の7割はスギが原因です。
スギ花粉症を克服するだけで症状が楽になる方は多いでしょう。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。