薬局では患者さまの薬をご用意する前に、ジェネリック医薬品への変更を希望されるかどうかを伺うのですが、こんな答えが返ってきました。

ジェネリック医薬品ではなく、最新の薬にしてください。

この一言には、2つの誤解が隠れています。
今回はその誤解について解説します。

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ジェネリック医薬品=古い薬という誤解

まず、ジェネリック医薬品が先発医薬品よりも古い薬であるという誤解があります。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品の特許が切れたあとに成分を真似して作られたものなので、ジェネリック医薬品の方があとに発売されており、新しいと言えます。

例えば、花粉症の薬で有名なアレグラの発売は2000年11月ですが、そのジェネリックのフェキソフェナジンでは2013年6月であり、発売日だけを比較するとジェネリックの方が新しい薬です。

最新の薬=より良い薬という誤解

2つ目の誤解は、最新の薬の方が古い薬よりも優れているということです。
確かに、新しい薬は今までできなかった技術で作られていて飲みやすくなっていたり、副作用が軽減されていたり、工夫がなされていることがあります。

ですが、古い薬でも優れている点はあり、新しい薬がすべてにおいて古い薬に勝っているわけではありません。

今回もアレルギーの薬を例に挙げます。

花粉症の薬として有名なアレグラですが、発売から18年が経っています。
2017年11月には、最新の抗アレルギー薬として、ルパフィンが発売されています。
つまり、アレグラは最新の薬ではないのですが、安全性が高く、処方箋なしで手に入れることもでき、多くの方の役に立っています。

補足:副作用の少ない薬はいい薬?

薬を使う際に気になるのは、その副作用だと思います。
もちろん副作用は、ないことに越したことはないですし、あまりに強い副作用であれば治療を中止する理由にもなりえます。

抗アレルギー薬の副作用として一番起こりやすいのは眠気です。
そのため、車の運転や高所での作業など危険を伴う行動は避けるように注意書きがあります。

これだけを聞くと、眠気の副作用が少ないものが優れていると考えられがちなのですが、患者さんのお話を伺っていると、この副作用と抗アレルギー効果には比例関係が見られる傾向があります。

先ほどから例に出している、アレグラは眠気が少なく、処方箋なしでも買うことができる使いやすい薬ですが、抗アレルギー効果は比較的弱いと言われています。

反対に、効果が高いと言われているザイザル、デザレックス、アレロックを使用している患者さんからは、副作用の眠気の訴えがほかの薬を使っている方からよりも高頻度で伺います。

いくら副作用がなくても、効果が低くては、薬の満足度が低くなってしまいますので、特に眠気のように重大でない症状であれば、“副作用と効果の強さの折り合いがつくところが最善”です。
自分のアレルギー症状の強さを考慮して、眠気の副作用と抗アレルギー効果の折り合いがつく薬を選択するのが最善だと思われます。

まとめ

・ジェネリック医薬品は古い薬ではない
・必ずしも古い薬が劣っていて、新しい薬が優れているとは言えない

いろいろな薬を使用してみて、自分に一番合った薬を探していただければと思います。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。