先日、帯状疱疹をテーマにした勉強会に参加してきました。
とても学びになったので、記事にまとめたいと思います。

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帯状疱疹の服薬指導のポイント

・抗ウイルス薬を飲み切る
・家族とタオルの共有をしない
・水ぼうそうにかかったことのない人(主に子供)との接触を控える
・休養をしっかりとる

帯状疱疹とは?

帯状疱疹とは、ヘルペスウイルスの1種が原因の感染症です。
ヘルペスウイルスは9種類に分類され、その3型の水痘帯状疱疹ウイルスが原因です。

初めてこのウイルスに感染すると、水ぼうそうとして症状が発現し、症状が落ち着いたあとも、ウイルスは神経の中にとどまった状態になります。

疲労やストレス、感染症などで体の免疫機能が弱くなった時に、この神経の中にいるウイルスが再び暴れだすことがあります。
この症状が帯状疱疹です。

帯状疱疹の障害罹患率は6~7人に1人、平均発症率は4.36人/1000人/年です。

帯状疱疹の症状は?

はじめ、ピリピリとした痛みを感じ、数日以内に赤いブツブツができてきます。

神経の中のウイルスが原因なので、症状は神経に沿って現れるのが一般的です。
一番起こりやすい場所は胸、お腹付近ですが、全身どこにでも起こる可能性があります。

顔に症状が出ると、発疹の跡が心配されるだけでなく、顔面麻痺がおこる可能性もあるので、早めの治療が必要です。
皮膚がピリピリするという自覚症状を感じたら、帯状疱疹を疑い、発疹が発現したらすぐに受診し、早めに抗ウイルス薬を飲み始めることが大切です。

2018年現在、開発されている帯状疱疹の薬は、ウイルスを殺す薬ではなく、増殖を抑える薬です。
そのため、薬を飲み始めてもすでに増えてしまったウイルスを抑えることはできません。
薬の効果は、飲み始めてから2~3日後に表れ始め、最初の3日間は症状が悪化していく可能性が高いですが、薬は効かないから飲むのをやめようと患者さんが考えないように、あらかじめ説明しておくことが必要です。

発疹が落ち着くまでには、約3週間かかります。

帯状疱疹になりやすい季節は?

帯状疱疹の原因は、他人から移されることではなく、自身の体の中のウイルスにあります。
日差しが強く、暑くて疲れやすい春~夏に患者さんが増加します。

帯状疱疹は移るのか?

水ぼうそうと帯状疱疹は、同じウイルスが原因で発症しますが、その感染力には差があります。

水ぼうそうでは、ウイルスがたくさん存在しているため、水疱だけでなく唾液中などにもウイルスが含まれており、感染力がとても強くなっています。
空気感染もするため、同じ空間にいるだけで移ってしまう可能性があります。

これに対して、帯状疱疹ではウイルスの量が水ぼうそうほど多くはありません。
ウイルスは、ブツブツのできている場所にのみ存在し、触らなければ感染は起こしません。
一緒の空間にいても感染する可能性は低いですが、タオルの共有を避けるように注意する必要があります。

水ぼうそうにかかったことのある人が、帯状疱疹の人に接触しても、帯状疱疹になることはありません。
ですが、水ぼうそうにかかった経験がない人に、帯状疱疹の人が接触すると、水ぼうそうを発症させてしまう可能性があります。
帯状疱疹にかかってしまった場合、子供への接触は避けることが勧められます。

【小話】老人ホームで帯状疱疹が集団発生する理由

帯状疱疹を発症した人がいても、そこから感染が広がってしまうことはありません。
ですが、老人ホームでは帯状疱疹が一度に複数人に発症することがあります。

これは、ウイルスによる感染ではなく、イベントやインフルエンザなど他の感染症が関係しています。
運動会や遠足などのイベントの後や、インフルエンザが流行した後は、免疫機能が低下しているため、帯状疱疹が発症しやすくなります。

老人ホームに入居している方は、生活リズムが同じため、免疫の落ちるタイミングも重なるため、同じ時期に帯状疱疹が起こりやすくなるのです。
決して感染が広がっているわけではありません。

帯状疱疹にかかってしまったらとにかく安静に

帯状疱疹は、治療薬もあり、怖い病気ではありません。
治療を早期に始め、十分な休養を取れば、後遺症も残さないで治すことのできる病気です。

ですが、帯状疱疹はそもそも、疲労やストレス、感染症などにより免疫機能が下がっていることが原因です。
帯状疱疹を発症したということは、自分の体がとても弱っているということです。
治る病気だからと言ってなめてかかってはいけません。

一般的に帯状疱疹は再発することは稀で、一生に一度しかかかりません。
一生の一大事と重く受け止め、治療に専念する期間を取るように指導することが大事です。

私自身、明日からの患者さんへの対応に役立てたいと思います。
それでは!

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。