今回の記事では、乾癬治療薬『オテズラ』の服薬指導のポイントについてまとめます。

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オテズラとは?

オテズラは2017年3月に新しく発売された乾癬治療の新薬です。

乾癬の治療は、その重症度に応じて、外用剤による局所療法、光線療法、免疫療法、バイオ製剤の注射の選択肢から選択されますが、オテズラは免疫療法に属しています。
外用剤の次に選択される治療法の1つとして位置づけられます。

オテズラは、免疫細胞内のPDE4を阻害し、cAMPの分解を抑制することで、炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインのバランスを是正する免疫調整薬です。
尋常性乾癬と関節症性乾癬の2つに適応を持っています。

オテズラの使用法は?

5日間の漸増期間を経て、維持用量は1回30㎎、1日2回朝夕に経口投与します。
漸増期間の飲み方は以下の表のとおりです。

食事の影響を受けないため、食前食後の縛りはありません。

1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目以降
10㎎ 10㎎ 10㎎ 10㎎ 20㎎ 20㎎ 20㎎ 20㎎ 30㎎ 30㎎ 30㎎

クレアチニンクリアランス30mL/min未満の腎機能障害患者では減量となり、1日1回30㎎が維持量となります。
漸増期間は通常の倍の日にちの10日間を要し、その飲み方は以下の表のとおりです。
スターターパックを28日かけて使用します。

1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 8日目 9日目 10日目以降
10㎎ 休薬 10㎎ 10㎎ 10㎎ 20㎎ 20㎎ 20㎎ 20㎎ 30㎎

販売規格は?

オテズラの販売規格は特殊で、14日間のスターターパックと30㎎のみです。
10㎎および20㎎規格の単独での販売はないので、注意が必要です。

スターターパック:10㎎×4錠、20㎎×4錠、30㎎×19錠
30㎎錠:14錠×4シート

効果発現までの期間

オテズラの効果発現には個人差があり、早い方では投与開始2週目から見られますが、遅い方では24週かかります。
飲み続けるうちに効果が表れてきますので、16週間は服用を続けるよう指導することが必要です。

かゆみに着目すると、その効果発現は比較的早く、2週目から現れます。
皮疹だけでなく、かゆみへの効果を期待して、かゆみで夜眠れない方や抗ヒスタミン薬を併用している方に処方される可能性があります。

爪乾癬に着目すると、その効果発現はほかの部位に比較して時間がかかります。
投与開始16週目あたりで効果が見られるため、辛抱強い服用を服薬指導することが大事です。

オテズラの頻度の高い副作用

頻度の高い副作用は、悪心嘔吐、下痢、頭痛です。
投与開始後2週間以内に表れることが多く、その後服薬を続けて2週間以内に改善します。
これらの副作用を防ぐため、開始時には漸増期間が設けられます。

効果の発現よりも副作用の発現の方が早いため、患者さまには事前に説明して理解を得ておくことが必要です。

オテズラは免疫調整薬ですが、生命に危険を及ぼすような重篤な感染症は副作用として報告されていません。
また、風邪など体調不良時の休薬も必要ありません。

飲み忘れ時の対応

オテズラを飲み忘れてしまった場合、1回分をスキップして、次の服用時から通常通り服用します。
2回分を1回で飲んではいけません。

漸増期間での対応も同じです。
3日目朝分を飲み忘れてしまった場合、夕に朝分を服用し、半日遅れでスターターパックを消費します。

また、1か月など長期での休薬期間があった際には、過去に漸増期間を経ていれば、1日2回、1回30㎎の維持量から開始をします。
特に漸増期間を設ける必要はないそうです。

オテズラ服用中に妊娠が発覚したら?

オテズラの禁忌項目には、妊娠が記載されています。
大量投与を行った動物実験で、胚胎児毒性が報告されたことがこの根拠ですが、海外では妊婦に禁忌となっていません。

妊娠が発覚した時点でオテズラの服用を中止すれば問題ないと現時点では考えられています。

注意する飲み合わせは?

オテズラはCYP3A4で代謝されるため、CYP3A4に影響を与える薬剤が併用注意となります。
リファンピシン、フェノバルビタールなどCYP3A4を誘導する薬剤は、オテズラの濃度を減少させる可能性があります。

また、併用注意には記載がありませんが、CYP3A4で代謝される薬剤も競合阻害を起こし、濃度上昇を引き起こす可能性があると考えられます。

服薬指導で大事な点まとめ

・食事の影響は受けない
・重度の腎機能障害で減量
・服用開始時に副作用が表れやすいが、継続すると軽快する
・効果発現よりも副作用発現の方が早い
・有効か無効かを見極めるには16週間飲むことが大事

是非参考にされてくださいね♪
それではまた!

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。