今回は慢性便秘症の新薬『グーフィス』の服薬指導のポイントについてまとめます。
目次
グーフィスとは?
2018年4月に発売された慢性便秘症の新薬です。
胆汁酸トランスポーター阻害作用により大腸に流入する胆汁酸の量を増加させます。
胆汁酸は、大腸内に水分を増やし、大腸の蠕動運動を促進する働きがあるため、便を柔らかくし、だしやすくする効果につながります。
歳をとるにつれて体の機能は低下していきますが、胆汁酸の分泌量については、加齢による影響が小さいので、高齢者でも効果が期待できます。
また、胆汁酸色素の再吸収には関与しないため、便の色が変わるようなことはありません。
グーフィスの飲み方
10mgを1日1回食前に経口投与します。
胆汁酸が分泌されるのは、食事時と1日に数回起こる大蠕動運動時です。
食事の際、食べ物が十二指腸を通るときに、胆汁酸は分泌されます。
食べ物が口から入って十二指腸に到達するまでの時間は、30分程度です。
食後にグーフィスを飲んでも、すでに胆汁酸の分泌は終わっているので、十分な効果は見込めません。
必ず食前に服用するように指導することが大事です。
便秘時にとんぷくとしても使用することができます。
効果がみられるまでの時間は?
グーフィスを飲んでから効果がみられるまでの時間には個人差があります。
臨床試験によると、3~10時間の間でかなりばらつきがあったそうです。
休みの日に一度服用してみて、ご自身で効果が出るまでにどのくらいの時間がかかるのか試してみると安心です。
実際に自身がグーフィスを服用してみて感じたことをこちらの記事にまとめています。
グーフィスの副作用は?
起こりやすい副作用は、腹痛、下痢です。
服用を開始してから28日以内、ほとんどが1~2日目に起こります。
腹痛は、消化管が動くことが原因で起こります。
排便とともに消失することが特徴です。
我慢できないような痛みではなく、通常のときにも排便前に感じる痛みと同程度だと報告されています。
下痢の場合には、薬が効き過ぎている可能性が高いです。
下剤を中止するか、減量することで改善します。
LDLコレステロールを下げる可能性もある
もともとはLDLコレステロールを下げる薬として開発が進められていました。
脂質異常症の薬としては、効果が低すぎて承認には至っていませんが、10mg/dL程度LDLコレステロールが下がる可能性があります。
肝臓が悪い人にも使える?
肝臓の機能を低下させるという報告はありませんが、胆道閉塞や胆汁酸分泌が低下している患者さまでは十分な効果が期待できないといわれています。
軽度な肝機能低下の方では問題ありませんが、肝硬変になってしまっている場合には他の下剤を検討した方がよさそうです。
腎臓が悪い人には使える?
グーフィスの尿中への排泄は0.8%と報告されています。
腎臓への影響は少ないため、腎機能が低下した人にも使用することができます。
簡易懸濁や粉砕、一包化はできる?
簡易懸濁は、1時間までは安定することが分かっています。
ご家族が飲む直前におこなうのは問題ありません。
粉砕により、フィルムコーティングが壊され、光の影響を受けるようになります。
グーフィスは光により、変色や不純物の増加が報告されています。
ご家族が飲む直前におこなうのは問題ありませんが、薬局で長期の粉砕をするのはお勧めできません。
一包化により、硬度が低下して錠剤が柔らかくなることが報告されています。
崩れるほどのレベルではないため、30日分程度であれば問題なく、一包化をおこなうことができます。
2018年5月現在、グーフィスは、新しい成分を含む薬であるため、14日間の処方日数制限があります。
2019年4月末に解除される予定です。
服薬指導で大事な点まとめ
・1日1回食前に服用
・とんぷく使用可
・服用1~2日目に腹痛、下痢の副作用が起こりやすい
・LDLを下げる可能性もある
・簡易懸濁と粉砕は飲む直前なら可能
・一包化は30日程度なら可能
是非参考にされてくださいね^^
それでは、また!

rina

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