今回の記事では、よくあるインスリン注射のトラブルについて解説します。
起こってしまった事象と対処法、理由についてお話していきます。

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Case1.夏に炎天下の車の中に置き去りにしてしまった

インスリンは使えません。廃棄してください。

暑いところにインスリン注射を置き去りにしてしまった場合、液体の色や容器の外見は変わらず、一見問題ないように見えます。
ですが、中身のインスリンは変性してしまっているため使うことができません。

暑いところに置いてしまったのだから、冷やしたら元に戻って使えるのではないか?

と言う方がたまにいらっしゃいます。

生卵を焼いたら目玉焼きになります。
目玉焼きを冷やしたからと言って、もとの生卵には戻りません。

これはたんぱく質の性質が熱によって変わってしまった(変性)からです。

インスリンもたんぱく質の一種で卵と同じです。
一度変性してしまったものは、冷やしてももとには戻りません。

もったいないですが、捨ててください。

Case2.冷蔵庫に保管していたら凍ってしまった

インスリンは使えません。廃棄してください。

冷蔵庫で保管していても、冷えすぎて凍ってしまう場合があります。
液体は凍ると膨張するため、容器の破損の原因となります。

注射器が壊れ、正しい量を出せなくなっている危険性があります。

インスリンの1単位は0.01mLであり、とても微量です。
4単位を打つつもりが、たくさん出てしまい、10単位注射されてしまったなんてことがあれば大変です。

軽度な故障が低血糖など重篤な副作用の原因となる可能性がありますので、使わないことをお勧めします。

冷蔵庫内での凍結を避けるために、奥の方に大事にしまうのではなく、入口に近くて冷えすぎないドアのポケットにしまうのがおすすめです。

どうしてインスリンは冷蔵庫で保存が必要なの?
インスリンは、たんぱく質の一種です。
密封しているとはいえ、高い温度下で保存することにより劣化が早まります。

いい状態を長く保つために、冷蔵庫での保管が大事です。

使い始めたら冷蔵庫に入れなくてもいい?

インスリンの使用期限は、開封後1か月程度です。
1か月程度の期間であれば、常温で保存しても品質に問題はありません。

また、冷えているものを使用してしまうと、注射時の痛みが強くなります。
常温に戻してから使用してください。

Case3.インスリンが濁っている

インスリンは使えません。廃棄してください。

インスリンに血液が逆流し、混ざってしまっている可能性があります。

インスリン注射で、針が体に刺さっている状態のときに、薬液の注入ボタンから手を放してしまっていませんか?
注入ボタンは、針を抜き終わるまでずっと押しておくことが必要です。

Case4.インスリンが出ない

針が正しく刺さっていない可能性があります。
本体に、針がまっすぐ刺さらず、曲がってしまった場合、うまく薬が出てきません。

インスリンの針は、痛みの軽減のため、とても細く作られているのですが、同時に曲がりやすくなっています。
曲がって刺さってしまっている場合には、新しい針に交換して、もう一度試してみてください。

針を刺す際に机など平らな場所を利用すると、まっすぐ装着しやすいかと思います。

インスリンの捨て方

本体は、自治体のごみの分別方法に準じて捨てて下さい。
東京都23区内であれば、燃やすごみとして廃棄が可能です。

見えないように何かに包んで捨てるとよろしいかと思います。

針については、通常のごみとして捨てることができません。
病院や薬局など医療機関で回収していますので、お手数ですがご持参ください。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。