今回の記事では、患者さまから1日1回はされる質問、「この薬って強いの?」に対する解説をしていきます。

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強い薬、弱い薬とは?

病院に行った際に、

「この薬はそんなに強くないから大丈夫だよ」

と言われたことはありませんか?

強くない薬と言われたら安心するけど、漠然とした表現でどういうことなのかわかりづらいですよね。
医師の強い薬とは何を指しているのか、解説していきたいと思います。

即効性があり、効果の高い薬

強い薬と言われて、まず一番に出てくるのは、即効性があり効果の高い薬です。
副作用と効果の強さは、必ずしも比例するわけではありません。

例えばコレステロールの薬であれば、クレストールやリピトールのような酵素を邪魔してLDLができるのを抑える薬は切れ味が鋭く、コレステロールを強力に下げますし、ロトリガやエパデールのように魚の脂由来のEPA/DHAの薬は比較的ゆるやかな効果を示します。

ですが、クレストールやリピトールは横紋筋融解症の注意が必要ですし、ロトリガやエパデールも血液がサラサラになるので出血のリスクがあります。

効果の強い薬だから怖い、弱い薬だから安心と一概に考えず、どちらも注意しながら使うことが大切です。

※横紋筋融解症の副作用は、血液検査から前兆がないかモニタリングされていますし、ロトリガやエパデールは手術前に薬を飲むのをお休みしますので、必要以上に心配することはありません。

副作用のでやすい薬

副作用の出やすい薬も強い薬と表現されることがあります。
副作用の強さと効果の強さは必ずしもリンクするわけではありませんが、副作用だけ強くて効果の低い薬は価値が低いため、副作用の強い薬は効果も高くなっています。

抗がん剤がこの代表選手です。

効果の範囲が強い薬

抗菌剤では、その効果を発揮する菌の種類の多さ(抗菌スペクトル)によって、強い弱いと表現することがあります。
ペニシリン系(例:サワシリン)やセフェム系(例:フロモックス)に比べて、抗菌スペクトルの広いニューキノロン系(例:クラビット)を強い薬と表現することがあります。

抗菌薬の選択では、原因菌に合わせて使用することが大事です。
むやみに抗菌スペクトルの広い薬を使用してしまうと、薬の効かない菌(耐性菌)が生まれる原因となります。

耐性菌を予防するためには、薬の飲み切りも大事になります。

量の多い薬は強い薬ではない

同じグループの薬でも、1回分に入っている成分量には差があります。
例えば、糖尿病の薬でアマリールの用量は0.5~6㎎ですが、グリミクロンでは40~160㎎で差があります。

数字だけを見れば、量が少なくても効果を発揮できるアマリールの方が強い!と考えられます。

ですが、有効成分量が多い、少ないだけで、単純に薬の強さをはかることはできません。
有効成分量には、その成分分子の大きさや吸収率など、様々な要素が関わってきます。

自分の飲んでいる薬は、有効成分量が他の薬と比べて大きいから強いんだ、とは考えなくて大丈夫です。

まとめ

医師の言う強い薬とは、

・効果の高い薬(副作用は比例しない)
・副作用の強い薬
・効果の範囲が強い薬

を示していることがあります。

この中のどれに当てはまるのかは、薬を出されたときに確認してみるとよいと思います。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。