薬局に行ったら必ず「お薬手帳はお持ちですか?」と聞かれることと思います。
どうして毎回聞かれるのか、お薬手帳は何に役立つのか、今日は薬剤師らしく、お薬手帳の意義についてお話します♪

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お薬手帳とは?

お薬手帳とは、その名前の通りご自身が飲んでいる薬の情報を記録する手帳です。
薬の名前、渡された数量、効果や飲み方、渡した薬局や処方元の病院の名前が記録されています。

お薬手帳のメリットは?

お薬手帳は、薬局でタダでもらうことができますし、持っていくのが面倒なことを除けば、持つことのデメリットが存在せず、メリットしかない品物です。
国の方からお薬手帳を普及させるように、というおふれが出ているため、金銭的にもメリットがあります。

①薬局の受付料が安くなる

薬局の料金は、国からの指導によって決定されています。
そして、国は国民がお薬手帳を持つように勧めているため、手帳を持っている方が料金が特になるように設定しています。

薬局で薬をもらう場合、薬自体の料金だけでなく、受付料がかかっているのですが、この受付料が手帳のありなしで120円変わります。
保険を使うと、3割負担の人なら30~40円、1割負担の人なら10~20円の料金の差が出ます。

②飲んでいる薬がすぐにわかる

医療機関でお薬手帳を提出することにより、自身で説明しなくても使っている薬を伝えることができます。
特に申し出をしなくても、新しく処方された薬との飲み合わせが悪くないか、重複している薬がないかをチェックしてもらえます。

医療者は、薬からその方がどんな病気の治療をしているのか、治療中の病気はどの程度の状態なのか、などを推察することができますので、より配慮をした対応を受けることができます。

③災害時に薬がもらえることがある

災害時には、病院の受診が困難になる場合があります。
ですが、お薬手帳があれば、処方箋がなくても普段使っている薬を先に渡してもらうことができます。

2016年の熊本地震では、厚生労働省から通達があり、持病を持つ被災者が処方箋を持たずに薬局を訪れた場合でも、後から処方箋を書いてもらうことを条件に、薬局でいつもの薬を受け取ることができるようになりました。

薬剤師が医師と連絡を取り、処方箋の内容を確認するのが原則ですが、連絡が取れない場合にはお薬手帳から普段使用している薬であることが証明できれば、お薬を渡せるようになりました。

薬局からのお願い:表紙裏の情報は必ず記入してください

お薬手帳の表紙の裏には、アレルギーや治療中の病気、今までにかかった病気などを記録するページがあります。
ここに情報を記入しておくことによって、薬にアレルギーの原因物質が入っていないかどうか、今回の薬は治療中の病気に影響がないかどうか、などをチェックしてもらうことができます。

特に卵や牛乳アレルギーがある方は、薬の成分として使われているものがある可能性が高いので必ずお伝えしてください。
また、前立腺肥大や緑内障、喘息などを治療中または過去に症状があった方は、注意する薬が多いです。

薬局からのお願い:病院ごとで手帳をわけないで

患者さんの中には、病院ごと薬局ごとに手帳を分けて、何冊も持っている方がいます。
これはあまり望ましいことではありません。

お薬手帳は、薬の飲み合わせをチェックするためのものです。
医療機関ごとに手帳を分けてしまうと、提出した手帳以外に記載されている薬の情報を薬局が把握することができず、薬の飲み合わせのチェックが漏れてしまいます。

どうしても整理のために手帳を分けてもちたいという方は、いつもすべての手帳を持ち歩き、医療機関では1冊だけでなく、使用している手帳すべてを提出して下さい。

手帳を出しても値段が変わらなかったけど?

お薬手帳を持参すると、薬局の受付料が安くなると前述しましたが、それには例外があります。

初めて訪れた薬局では、お薬手帳のありなしで値段が変わりません。
同じ薬局に6か月以内に手帳を持参して訪れた場合に安くなります。

また、大病院の近くの薬局では、もともとの受付料が安く設定されているため、お薬手帳があっても値段が変わらない場合があります。

毎回同じ内容だから貼る必要がないのでは?

毎回同じものだから貼らなくていいわ。
ページがなくなっちゃうでしょ?

という患者さんの声をきくことがあります。

薬剤師としては、同じ内容であっても毎回シールを貼ることをお勧めします。
これは、その薬を現在も使っているのか、中止しているのかを判別できるようにするためです。

薬の情報があっても、その受付日が数か月~数年前であった場合には、現在は使っていないものと判断されてしまい、薬の飲み合わせのチェックから漏れてしまう可能性があるからです。

薬は自分で覚えているから手帳は必要ないのでは?

自分が使っている薬は、完璧に覚えているし、聞かれたときにいつでも答えられるから必要ないよ。

こんな声もきかれます。
ですが、前述したように災害時に使っている薬を証明するために役立てることができます。

また、突然の事故などで意識を失ってしまい、自身で説明ができない場合にも、お薬手帳が役に立ちます。

お薬手帳を持ちましょう

お薬手帳は、持っていることで様々なメリットのある品物です。
薬局でタダで作ってもらうことができますので、ぜひ1人1冊持っていただければと思います^^

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。