今回の記事では、SU剤についてまとめます。
最近の糖尿病の新薬の開発ラッシュにより、めっきり影が薄くなりましたが、安さと切れ味のよさからまだまだ用いられる機会もある薬だと感じています。
目次
SU剤とは?
膵臓β細胞膜上のSU受容体に結合して、インスリン分泌を促進し、血糖値を下げる薬です。
―SO2NHCONH―から成るスルフォニル尿素(SU)骨格を持っていることが特徴です。
SU剤の作用時間は?
3剤ともに12~24時間の長い作用持続が期待できます。
ナテグリニド、ミチグリニド、レパグリニドなどの、即効性インスリン分泌促進薬も同じSU受容体に作用しますが、SU剤では作用時間がこれらと比べて長いのが特徴です。
前者のように毎食直前に服用する必要がありません。
作用持続が長いため、夜間の低血糖を招きやすい、低血糖を回復した後にも再度低血糖を招くことがある、などの欠点にもつながります。
SU剤が向いている人は?
SU剤は、インスリンの分泌を促して血糖値を下げる薬です。
インスリンの分泌能力がない人、インスリン抵抗性が高い人には向きません。
高度な肥満の方では、インスリン抵抗性が高い場合が多いため、効果を十分に得られない場合があります。
SU剤の使い分け
グリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリドの3剤のうち、グリクラジドは作用がマイルドで、低血糖の可能性が低く、使いやすいと言われています。
グリベンクラミドとグリメピリドは、より血糖値を長く強く下げる効果を持ちます。
これらの違いは、その構造式によって生まれています。
グリメピリドとグリクラジドは、SU骨格に加えて、ベンズアミド骨格を持っています。
ベンズアミド骨格が、SU受容体との結合を強くするため、血糖降下作用が強くなるのです。
SU剤を使う上での注意点
最も注意が必要なのは、低血糖の副作用です。
作用時間が長いため、一度低血糖から回復しても、再度陥る可能性があります。
血糖値が150㎎/dLを超えるまでは注意が必要です。
また、食欲の増加を招くため、体重増加をきたしやすい薬です。
血糖値が改善しても、食事運動療法を怠らずにして、体重維持もしくは減量を目指すことが必要です。
SU剤の使える量は?
SU剤3種の投与量は、添付文書によると以下のように定められています。
一般名(成分名) | 商品名 | 添付文書上の用量 | 他剤(DPP-4,SGLT2阻害薬)と併用するときの用量 |
グリベンクラミド | オイグルコン ダオニール |
1.25~7.5㎎ | 40㎎以下 |
グリクラジド | グリミクロン | 20~120㎎ | 1.25㎎以下 |
グリメピリド | アマリール | 0.5~4㎎ | 2mg以下 |
現在では、添付文書上の用量は多すぎると言われています。
SU剤は切れ味が鋭いだけに、低血糖の副作用がでやすいので、他剤と併用する際の用量を用いるのが、現在のスタンダードとなっています。

rina

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