喘息の治療には、気管支だけに効かせることができて、副作用の少ない吸入薬が使われます。
薬局で吸入器の説明を受けると、吸入の後にはうがいをしてください。と必ず言われることと思います。

今回は吸入後にどうしてうがいが必要なのか、正しいうがいの方法や回数を解説します。

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吸入後にうがいが必要な理由は?

喘息の治療薬の吸入後にうがいが必要なのは、余分な薬を洗い流して副作用を予防するためです。
喘息で使われる吸入薬には、そのほとんどでステロイドが含まれています。

ステロイドは、喘息の原因となる気道の炎症を抑えて、根本的に喘息を治す効果を持っています。
吸入にすることで、効率的に気道だけに作用するため、飲み薬として使う100分の1程度の量で済みますし、とても安全なお薬です。

ですが、安全と言っても全く副作用がないわけではありません。

余分な薬が口の中やのどに残ることで、副作用が起こる可能性が格段に上がってしまうのです。
ステロイドによる副作用を防ぐことが、うがいが必要である理由です。

うがいをしないと起こりやすくなる副作用は?

余分なステロイドが残ってしまうことで起こる代表的な副作用が2つあります。

口腔カンジダ

ステロイドには、免疫の働きを調整する働きがあります。
口腔内に常にステロイドが付着することにより、もともと口腔内にいるカンジダ菌に免疫が負けるようになってしまい、口腔カンジダを発症します。

口の中に、白い苔があると感じたら口腔カンジダにかかってしまっているかもしれません。

ステロイド吸入をしている約半分の方に、口腔カンジダが発症しているというデータもあります。

口腔カンジダには、抗真菌薬が使われます。

かすれ声

かすれ声は、ステロイドがのどに付着することにより、咽頭筋に障害が生じ、筋力が下がることで声帯の動きが悪くなって起こると考えられています。
また、口腔カンジダになることで、かすれ声になる可能性が高くなると言われています。

ステロイド吸入薬を使用している30%以上の方が、かすれ声を経験したとの報告があります。

吸入薬によって、かすれ声がでるリスクに差があるため、症状が出た際には薬の変更や減量が行われます。
薬の中止が小さいエアゾール製剤では、かすれ声が比較的起こりづらいとのデータもあります。

副作用を防ぐうがいの仕方は?

口の中やのどに残ったステロイドを洗い流すことが大事になります。
口の中に残っている薬を出すために、「ブクブク」「くちゅくちゅ」とほおを膨らませてうがいを行います。
さらにのどに残っている薬を出すために、「ガラガラ」と上を向いて口を開けるようにしてうがいを行います。

うがいはそれぞれを2回ずつ行いましょう。
これにより、9割以上の薬を洗い流すことができたという報告があります。

面倒がらずにうがいをしましょう

うがいにより、喘息の治療をより安全に快適に行うことができます。
副作用が起こってしまってからでは遅いですので、ぜひ今日から吸入後にはうがいを行いましょう♪

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。