毎日の寒暖差が大きく、体調を崩しやすい季節になりました。
今年は雨が少なく、空気が乾燥していることから、特に咳やのどの痛みをともなう風邪をひいている方が多いと感じています。

病院でもらった風邪薬は、治ったら途中でやめていいのか、なぜ飲む必要があるのか、について解説します。

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風邪でよく出る処方箋の薬

風邪をひいたときによく出る薬は、大きく分けてこのようなグループ分けに入ります。

・抗生物質
・痰切り
・咳止め
・炎症、痛み止め
・解熱剤
・アレルギー薬(鼻水止め)
・総合風邪薬(配合剤)

①抗生物質

クラリス、フロモックスに代表される薬は、抗生物質です。

抗生物質の効果

抗生物質には、感染症の原因となる細菌を殺す働きがあります。
薬によって効果を発揮できる細菌に違いがあります。

また、風邪には、原因がウイルスと細菌の場合がありますが、ウイルスには効果がありません。

抗生物質の必要性

以前は、風邪薬としてよく使われていましたが、現在は風邪には安易に使わないこと、が主流になっています。

風邪は、健康な人であればほおっておいても治るため、むやみな使用は早く治るというメリットよりも、薬が効かない菌を生み出してしまうというデメリットが勝ってしまうためです。

また、風邪の原因は細菌とウイルスの二つの可能性があります。
抗生物質は、細菌には有効ですが、ウイルスには効果がありません。
抗生物質を飲んでも効果がないケースも多いため、やはり風邪に抗生物質を使うメリットは少ないと言えるでしょう。

ですが、以前からの流れや、抗生物質を出してほしい!という患者さんの強い訴えにより、風邪に抗生物質が出されることがまだまだあります。

また、以下のケースでは、抗生物質が使われることがあります。

・肺炎などの合併症の疑いがある
・75歳以上の高齢で体力に心配がある
・重症化する危険性がある
・風邪が2週間以上長引いていて治らない
・風邪の原因が細菌と考えられる(痰や鼻水の色が黄や緑になっている)

抗生物質の副作用・注意点

もし抗生物質が風邪に出された場合には、症状が治まったとしても必ず最後まで飲み切ることが必要です。
その理由については、こちらの記事でまとめています。

副作用としては、お腹を下すことが挙げられます。
体内の病原菌だけでなく、善玉菌も殺してしまうため、腸内環境が乱れてお腹の不調につながります。
薬をやめれば治りますので、軽度なものであれば、抗生物質は最後まで飲み切ることをお勧めします。

すぐに抗生物質を中止しなくてはならない副作用はアレルギーです。
食べ物と同じように、他の人に問題なくても、体に合わない場合があります。
もし、薬を飲むことで息苦しさや発疹が現れた場合には、アレルギーが考えられるため、すぐに中止してください。

②痰切り

ムコダイン、ムコソルバン、クリアナールなどが、痰切り薬の代表です。

痰きりの効果

痰は、ウイルスや細菌、ほこりなどの異物が体の中に入らないように、のどの粘膜が防御反応としてからめとったものです。
体を守るためにとても大切な働きなのですが、痰が体の外に出されないことで、のどの痛みを起こしたり、痰を出そうとする咳が続いてしまったりと悪い状態が作り出されてしまいます。

痰きりは、痰のねばりけを弱くして水っぽくし、出しやすくする働きを持っています。
鼻水の通りをよくして鼻詰まりを改善する効果もあると言われています。

痰きりの必要性

前述したように、痰をだすということは、咳やのどの痛みの改善にとても大事なことです。
風邪薬で使われる薬には、熱を下げたり、咳を止めたり、鼻水を止めたりと症状を抑えるだけで、根本的に治すためではないものも多いですが、痰きりの薬は風邪を根本的に治すことを助ける薬なのでとても大事です。

また、抗生物質のように細菌には効くけれど、ウイルスには効かないというようなことはありません。
のどや鼻に症状がある場合には、原因に関係なく効果があります。

痰きりの注意点・副作用

痰きりの薬を飲み始めると、痰や鼻水が出やすくなります。
ティッシュやマスクの用意が必要です。

痰や鼻水が増えるのは煩わしいですが、治すために重要なことです。
より出しやすくするため、脱水を防ぐために、十分な水分をとりましょう。

③咳止め

メジコンやアスベリンに代表される薬が咳止めです。
漢方薬で麦門冬湯というものも広く使われています。

また、咳がひどい場合には吸入の薬やテープ(例:ホクナリンテープ)も使われます。

咳止めの効果

西洋薬の咳止めは、脳にある咳中枢というところをブロックして咳を止める効果があります。
漢方薬の作用の仕方は、まだ詳しくわかっていませんが、のどの細胞に潤いを与えることによって咳を改善すると考えられています。

咳がひどく、呼吸も苦しい場合には、気管支を広げるためのテープ(例:ホクナリン)も使われます。
咳が続く場合には、気管支の炎症も心配になるため、炎症を抑え、呼吸を楽にする吸入薬が使われます。

咳止めの必要性

痰きりの薬の項目で述べたように、咳は体の中の異物を外に出すためにとても重要な働きを持っています。
ひどい咳は呼吸困難にもつながるため、薬を使って抑えることが大事ですが、1日に何度かせき込むくらいで息苦しさがないのならば、特に使う必要もないでしょう。

薬を使用しても、すぐにすっきりとなくなることは少なく、何日かは続くと認識しておくとよいと思います。
2週間~1か月以上続くようであれば、ただの風邪ではなく、喘息や肺炎など他の病気の可能性もありますので、一回調べてもらうようにしてください。

咳止めの注意点・副作用

メジコンやアスベリンなどの一般的な飲み薬の咳止めは、効果が穏やかである代わりに、副作用もほとんどありません。
ですが、副作用のない薬はないため、飲み始めてから体調に変化があれば、薬を疑って調べてもらうのがよいと思います。

テープ剤は、呼吸を楽にしますが、心臓にも影響してしまう場合があります。
手の震えや動悸を感じた際には、薬が効きすぎている可能性があります。
心臓にもともと不安がある方では、自分に安全に使える薬であるのか、使う前に確認をお勧めします。

吸入剤には、気管支の炎症を抑えるためのステロイドが含まれている可能性が高いです。
吸入後に余分な薬がのどに残っていると、副作用の原因となりますので、必ずうがいをしましょう。

うがいが必要な理由についてはコチラから。

④炎症、痛み止め&解熱剤

ロキソニンやカロナールに代表される薬は、痛み止めと解熱剤の両方の働きを持っています。
また、熱を下げる効果はありませんが、のどの炎症止めとして、トランサミンも使われます。

炎症、痛み止め&解熱剤の効果

ロキソニンやカロナールは、薬を飲んでから30分ほどで、痛みや熱を改善する効果があります。
痛みを感じやすくする体内物質であるブラジキニンができるのを防ぐことで痛みを抑えます。

トランサミンは、炎症止めの効果がありますが、ロキソニンやカロナールに比べると効果は穏やかなものになります。
シミ(肝斑)改善に使われる薬と同じ成分で、美白を目的に使われることもあります。

炎症、痛み止め&解熱剤の必要性

体温が上がると、白血球など免疫の働きが高くなると言われています。
熱は不快なものですが、体が病原菌を倒して治ろうとする正常な反応でもあります。

苦しくなければ、平熱よりも体温が高いからと言って、解熱剤を使う必要はありません。
ですが、38.5℃を超えてくると、正常な細胞も死んでしまうので、解熱剤を使用してください。

炎症、痛み止め&解熱剤の注意点・副作用

ロキソニンやカロナールなどの痛み止めは、胃に負担をかけてしまう薬です。
これは、痛みの原因となる成分を抑える一方で、同時に胃の保護をしている成分も抑えてしまうからです。

胃に食べ物が入っていれば、ダメージは少なくなりますので、できれば食後に使いましょう。
食事がとれないときには、多めの水でのむだけでも負担を減らすことができます。

1日の使用回数を守って上手に活用してください。

⑤アレルギー薬(鼻水止め)

アレロック、アレグラに代表されるのが、アレルギー薬です。

アレルギー薬の効果

アレルギー薬は、ヒスタミンというアレルギーの原因物質を抑えて、鼻水やくしゃみなどを改善します。
かゆみや発疹の治療にも使われることがあります。

アレルギー薬の必要性

アレルギー薬も根本的に治す薬ではなく、今ある症状を抑えるものです。
鼻水やくしゃみなどつらい症状があれば、必要におうじて使用してください。

鼻水も痰と同じように、体の中に異物が入るのを防ぐ防御反応なので、つらくなければ無理に止める必要はないと思われます。

アレルギー薬の注意点・副作用

アレルギー薬には、眠気の副作用があります。
最近開発された薬は、比較的眠気が少ないですが、眠気を感じなくても集中力は低下している(インペアードパフォーマンスの低下)との報告があります。

アレルギー薬を使っている間は、車の運転や高所での作業などは避けることをお勧めします。

⑥総合風邪薬(配合剤)

PL配合顆粒、ぺレックス配合顆粒などは、総合官房剤と呼ばれます。
特にPL配合顆粒は、処方箋がなくても買えるようになりました。

詳しいPLの情報はこちらから。

薬剤師が解説するお薬情報ページ
https://okusuri.work/2017/11/26/pl-otc-difference/
薬剤師が解説するお薬情報ページ
 薬剤師が解説するお薬情報ページ

総合風邪薬の効果

総合風邪薬には、解熱鎮痛剤とアレルギー薬の複数の成分が含まれています。
熱を下げ、鼻水を止める効果が期待できますが、咳を改善したり、痰を出しやすくする効果はありません。

総合風邪薬の必要性

総合感冒薬は、その名前から風邪の万能薬ととらえられがちですが、どんな風邪にでも効くわけではありません。
自分の症状にあっているものなのか、考えたうえで使用することが必要です。

1つの薬に、解熱鎮痛剤と抗アレルギー薬が配合されているため、これを使えば飲む薬を少なくすることができるメリットもあります。

総合風邪薬の注意点・副作用

解熱鎮痛剤と抗アレルギー薬の注意点と同じになります。
ただし、総合風邪薬に含まれている抗アレルギー薬の成分は、古いものが多く、アレルギー症状を抑える効果が高い一方で眠気の副作用が強くなりますので、注意が必要です。

また、古いアレルギー薬を含む場合、前立せん肥大や緑内障の方には適さない可能性がありますので、使う前には注意が必要です。

編集記

風邪だと思って病院に行ったら、あまりにたくさん薬が出たので驚いた。
本当にこの薬は、全部必要で飲まないといけないの?

このようなお話をいただき、今回の記事を作成しました。

風邪が治ってもすべての薬を飲み切らないといけないのか、本当に必要な薬なのかを見極める参考にしていただければ幸いです。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 ここ1年間で12㎏増えた体重をもとに戻すべく、ダイエット中。糖尿病に対する専門知識を生かし、健康に美しく痩せる方法を模索中。