ボノサップやランサップなどのピロリ菌除菌薬には、整腸剤が併用されることがあります。
しかし、整腸剤の主成分は善玉の細菌であり、除菌薬にピロリ菌と一緒に殺されてしまう可能性があるのではないか?と思ったこともあるのではないでしょうか?
なぜ整腸剤の併用が効果的なのかについて解説します。
目次
なぜ、ピロリ菌除菌治療に整腸剤を併用するのか?
ボノサップやランサップを飲む理由は、胃の中で胃潰瘍や胃がんのリスクを高める悪い菌であるピロリ菌を殺すことです。
ですが、これらの薬は抗生物質が含まれているため、ピロリ菌だけでなく、腸内にもともと棲んでいる細菌たちも殺してしまいます。
腸内にもともと棲んでいた細菌は、人間が自分で作れないビタミンを作ったり、病気の原因となる悪い菌が増えるのを防いだりと、大事な役割を果たしています。
これらが殺されてしまい、腸内の環境が乱れると、下痢などの体調不良を引き起こす可能性があります。
そのため、外部から善玉細菌を補充し、腸内環境をよくすることが整腸剤を飲む理由です。
整腸剤は抗生物質で死なないのか?
通常のビオフェルミンやラックビーなどの整腸剤は、抗生物質により殺されてしまうと言われています。
しかし、語尾にRのついたビオフェルミンRやラックビーRは、抗生物質に耐性を持たせた菌であるため、生き残ることができます。
ミヤBMは芽胞を作る細菌であり、抗生物質に耐えることができます。
抗菌スペクトルを確認してみよう
ラックビーRは、ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、マクロライド系、ナリジクス酸に耐性を持っています。
ビオフェルミンRは、ラックビーRのものに加えて、テトラサイクリン系に対する耐性を持っています。
ランサップ、ボノサップに含まれる抗生物質は、ペニシリン系のアモキシシリンとマクロライド系のクラリスロマイシンであるため、ビオフェルミンR、ラックビーRともに耐性を持っていることが分かります。
また、ミヤBMに含まれている細菌は、Clostridium butyricumに属するグラム陽性、有芽胞、偏性嫌気性の桿菌です。
アモキシシリンとクラリスロマイシンは、ともにグラム陽性球菌には強いものの、クロストリジウム族には有効でないため、ミヤBMは生き残ることができます。
こちらのサイトでは、抗菌スペクトルがとても分かりやすくまとめられています。
編集記
勤務先の薬局には、実習生が来ています。
実習生には、毎日指導薬剤師から課題が出されており、今日はピロリ菌の除菌で整腸剤を使う理由についてでした。
除菌治療で腸内環境が乱れるから、それを整えるため。
だけど、抗生物質でさ、整腸剤の細菌も死んじゃうんじゃないの?
意味あるのかな?
そんな会話をもとに抗菌スペクトルを見直してみました。

rina

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