今回は、慢性便秘症の新薬『モビコール』の服薬指導のポイントについてまとめます。

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モビコールとは?

2018年11月に承認販売開始された、慢性便秘治療の新薬です。
水を吸収する作用の強いマクロゴール4000を主成分に、電解質を配合し、消化管内の水分を増やすことで便の排出を促す働きがあります。

主成分のマクロゴール4000は、体内にほとんど吸収されないため、肝臓や腎臓が悪く、薬の代謝が難しい人にも使える利点があります。

日本では便秘薬として、酸化Mg(ex.重カマ、マグミット)やセンナ抽出物(ex.プルゼニド、アローゼン)が主流ですが、海外ではこれらはあまり使われておらず、モビコールのような電解質系、膨張系が広く使われているそうです。

新薬のくくりにはなりますが、国際誕生は20年以上前の1995年と使用経験も多く、安全性は高い薬と言えると思います。

マクロゴールとは?

モビコールの主成分である、マクロゴールは様々な用途で医薬品に使用されています。
マクロゴールに続く数字は、分子量を示し、400では液体、4000では固体と性質が異なります。
どの分子量でも、親水性で吸湿性の高い成分ですが、数字が大きくなるほど水を保持する力は小さくなり、毒性も低くなります。

参考:Sanyo ChemicalのWebページ

モビコールの飲み方

1包をコップ3分の1程度の水に溶かして飲みます。
1回量は、年齢と症状に応じて以下の表のように定められています。

モビコールは2歳から使用することができます。
子供に使える薬は少ないため、新しい選択になると思われます。

2-6歳 7-11歳 12歳以上
開始量 1回1包/日 1回2包/日 1回2包/日
最大量 4包/日
1回2包まで
6包/日
1回4包まで

モビコールは、体内で周りの水分を集めて排便を促す薬です。
水に溶かした際の水分は、ほとんどが吸収されずに便となりますので、薬を服用するときには溶かした水とは別に水分補給をすることが必要です。

効果がみられるまでの時間は?

モビコールを飲んでから、排便があるまでの時間は中央値が2-3日であると報告されています。
参考:EAファーマのWebページ

また、1週間当たりの排便回数が増えてくるのは、薬を飲み始めてから2週目あたりからであるとも報告されています。

1回飲んだだけでは、すぐに効果が得られない可能性があり、数日間続けて使うことが必要だと思われます。
便秘の時の頓服薬として使用するのは難しそうです。
小林自身が飲んでみた感想についてはこちらの記事から。
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モビコールの副作用は?

下痢、腹痛の副作用が報告されています。
便秘の際に起こる症状と重なります。

モビコールの主成分は、体内にほとんど吸収されないため、肝臓や腎臓が悪く、薬の代謝が難しい人にも安心して使えると思われます。

服薬指導で大切な点まとめ

・1包をコップ3分の1の水に溶かして飲む
・服用量に応じて1日1~3回に分けて飲む
・効果発現は遅く、頓服には使えない
・効果がなくても数日間は続ける
・主成分は吸収されず、使う人を選ばない
・2歳以上の子供にも使える

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。