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緑内障にアトロピンは禁忌と記載されている

通常、アトロピンは眼圧を上昇させる可能性があるため、緑内障の方に禁忌となっています。

禁忌(次の患者には投与しないこと)
緑内障及び狭隅角や前房が浅いなどの眼圧上昇の素因のある患者[急性閉塞隅角緑内障の発作を起こすことがある。]

日点アトロピン点眼液1% 添付文書より

ですが、緑内障の方にアトロピンが処方される例が少なからず存在します。
どうして禁忌薬を使用するのか、調べてみました。

アトロピンはなぜ緑内障に禁忌なのか

アトロピンは、副交感神経を遮断することにより、毛様体筋と瞳孔括約筋を弛緩させて、隅角を閉塞させます。
シュレム管からの眼房水の排出を妨げるため、眼圧が上昇し、目へのダメージを増加させる危険性があります。

以上のメカニズムから、アトロピンは使用することにより緑内障の悪化をもたらす可能性があるため、禁忌とされています。

アトロピンは悪性緑内障の治療に使う

アトロピンは緑内障に禁忌ですが、一部の緑内障では治療に用いられています。
緑内障の分類の中でも、続発閉塞隅角緑内障の1つに分類される「悪性緑内障」では、アトロピン点眼を治療目的で使用することが分かりました。

悪性緑内障では、従来であれば水晶体の後ろに存在している組織が、前方に移動してしまっています。
このため、房水が前房側に流れづらくなってしまっています。

アトロピンは毛様体を弛緩させることにより、毛様体と水晶体、前部硝子体との間隔が大きくなり、房水が前房に流れやすくすることができます。

アトロピンが処方されたら病態の確認が必要

緑内障患者に対するアトロピンの処方は禁忌です。
一部の病態の緑内障で使われるとはいえ、禁忌薬となっていますので、本当に必要なものなのか、悪性緑内障なのかを初回は問い合わせる必要があります。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。