目の手術後や緑内障治療中では、複数の目薬が使われることがあります。

何種類もの目薬を使う際に気になるのが、使う順番についてです。
ですが。質問した医師や薬剤師によって、指導する内容が変わることがあります。
それはなぜなのか、目の前の患者さまにはどのように指導するのが正解なのかお答えします。

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①最も効かせたい目薬が最後

前の目薬を使用してから、十分な時間を空けずに次のものを使った場合、十分に浸透する前に前のものが流れ出てしまうことがあります。
目に入る水分量は、目薬1滴分程度であり、それ以上は流れ出てしまうのです。

最後であれば、次に使う目薬がないので、浸透時間を5分にとどまらず、長くとることができますし、流れ出てしまって効果が出ない事態を避けることができます。

②最も効かせたい目薬が最初

①と矛盾をするのですが、逆に最も効かせたい目薬を最初に使うように指示されることがあります。
これは、使う目薬が複数あった場合に、使うのを忘れてしまうものがでることを心配して指導されています。

多少流れ出てしまっても、使わないよりはマシという考えがもとになっていると思われます。
②は少数派の考え方で、一般的なのは①の方だと感じています。

③pHが中性の目薬を先に使う

pHが酸性もしくはアルカリ性になっている目薬は、刺激が強いためにしみると感じることがあります。
涙は緩衝作用が強いので、1滴程度の使用であれば問題ないことが多いですが、中性のものを先に使用することでさらに刺激を減らすことができます。

しみると感じてしまうと、涙が出るため、目薬の成分が洗い流されてしまい、十分な効果が得られない原因ともなります。

④目薬→懸濁性目薬→眼軟膏の順で使う

懸濁性(見た目が濁っている)目薬は、浸透が透明なものに比べて遅くなります。
充分な浸透のためには、10分以上の時間が必要なため、待ち時間を減らすためには最後にすることが勧められます。

眼軟膏は目の表面に膜をはって、水分をはじいてしまいます。
後から刺した点眼薬が、浸透できなくなってしまうため、最後に使うことが勧められます。

懸濁性目薬と眼軟膏の両方を使用する場合には、まず先に懸濁性をつかって、十分な時間を空けてから眼軟膏を使うことをお勧めします。

患者さまにあった指導をしましょう

患者さんの特徴や症状に応じて、点眼薬の最適な順番はかわってきます。
主治医の先生の指示がどうだったのかを確認しつつ、最も合っている順番を提案するのが薬剤師の職能だと思います^^

また、点眼間隔は5分ピッタリである必要はなく、30分になっても問題ありません。
次の目薬までの時間が待てないという方ならば、食前と食後で分けるなどちょっとした工夫をお伝えしてもよいと思います。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。