薬が十分な効果を発揮するためには、その保存方法も大事です。
暑すぎるところや寒すぎるところに置かないのは当たり前ですが、室温での保管が向かず、冷蔵庫での保管が必要なお薬も存在します。

例えば冷所保管が必要な目薬として、キサラタン点眼液が挙げられますが、そのジェネリック医薬品では冷所保管が必要なものとそうでないもの(室温保管可能)があります。

同じ成分の医薬品であるのに、製造元によって保存方法が変わるなんて複雑ですよね。
今回は冷所保管が必要な先発品の目薬に焦点を絞り、そのジェネリック医薬品の保管方法がどうなるのかについてまとめました^^

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キサラタン点眼液~ラタノプロストの保管方法~

キサラタン点眼液は、緑内障の治療に用いられるPG系の目薬です。
緑内障治療の主力薬であるため、多くの会社からジェネリック医薬品が発売されています。

含まれる成分は、『ラタノプロスト』です。
キサラタンは冷所保管ですが、ジェネリック医薬品は冷所のものと室温保管のものが混在し、室温保管のものの方が多くなっています。

ジェネリックの商品名は、成分名+剤形+濃度+「メーカー名」で定められるため、最後のメーカー名以外の部分は共通名になります。
そのため、ジェネリックの商品は「」内のメーカー名のみの記載とさせていただきます。

保管の仕方について、以下の表にまとめました。

冷所保管(2~8℃) 室温
キサラタン(先発品)
イセイ
キッセイ
センジュ
わかもと
杏林
SEC
三和
サワイ
タカタ
TS
科研
NS
日医工
トーワ
ニッテン
TOA
PF日点
ケミファ
NP
ニットー
TYK
CH
サンド

 

ザラカム点眼液~ラタチモの保存方法~

ザラカムもキサラタンと同じく、緑内障治療に用いられます。
ラタノプロストとチモロールの2つの成分が配合された薬で、単剤で2つを用いたときに必要な点眼間隔を省略することができます。

ラタノプロストとチモロールの前部分をとって、『ラタチモ』という名前で発売されています。
キサラタンのジェネリックには、室温保管可能なものがあったのに対し、ザラカムではすべての薬が冷所保管です。

こちらについても、「」内以外の名前が共通になりますので、メーカー名のみの記載としました。

冷所保管 室温保存
ザラカム(先発品)
センジュ
ニット―
ニッテン
TS
該当なし

ジクロード点眼液

ジクロードは、抗炎症作用を持つジクロフェナクを主成分とする薬です。
手術後など目に目に炎症がおきているときに使われます。

現在のジェネリック医薬品の商品名は、成分名+剤形+濃度+「メーカー名」が大多数ですが、ジクロードのジェネリックに関しては、オリジナルネームのものも存在します。
ジクロスターとジクロフェナックについては、メーカー名ではなく、オリジナルネームで記載しました。

冷所保管(10℃以下) 室温
ジクロード(先発品)
ジクロスター
ジクロフェナック
SN
日新
あゆみ
PF日点

リズモンTG点眼液

リズモンTG点眼液は、眼圧を下げる働きをもち、緑内障治療に用いられます。
TGとは、Thermosetting Gelの略で熱でゲル化をするため、長い時間効果を発揮することができます。

チモプトールXE点眼液とは、ゲル化をする点、主成分がチモロールである点で一致します。
しかし、チモプトールXEは涙と接触して反応することにより、ゲル化をするため温度による制約を受けず、室温での保管が可能です。

リズモンTGのジェネリック医薬品は、チモプトールXEに寄せて作られているため、すべてが室温保存可能になっています。

また、ゲル化をしない無印のリズモン点眼液、チモプトール点眼液も室温保存が可能です。

冷所保管 室温保管
リズモンTG(先発品) チモプトールXE(先発品)
ニット―
杏林
JG
TS

点眼点鼻用リンデロンA液・ベルべゾロンF点眼点鼻液

点眼点鼻用リンデロンA液・ベルべゾロンF点眼点鼻液は、ステロイドと抗生物質を含み、感染症により炎症が起こっているときに目薬として使われます。
目薬に比べると使用頻度は少ないですが、鼻炎や手術後に点鼻薬として用いられることもあります。

この2つの薬品には、ジェネリック医薬品が存在せず、ともに冷所保管となっています。

まとめ

冷所保管が必要な目薬は少数ですが、だからこそ保管方法を間違えないようにすることが大事です。
特にキサラタン点眼液のジェネリック医薬品については、製造元によって保管方法が異なりますので、注意が必要です。

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rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。