D2ブロッカーは抗精神病薬として使われ、多くの商品が販売されています。
バルネチール(スルトプリド)もその1つですが、薬理学的に見た場合にその添付文書用量は過量ではないか、という意見が勉強会でありました。

今回の記事で詳細をご紹介したいと思います。

スポンサーリンク




D2ブロッカーの効果と副作用

D2ブロッカーは、薬剤による脳内のドパミン受容体の占有率が65~70%になると抗精神病薬としての作用を発揮することが分かっています。
そして、占有率が80%を超えてくると錐体外路症状の副作用が出ると言われています。

近年開発された薬剤では、第Ⅱ相臨床試験により至適用量の設定がなされていますが、昔から使われている薬剤の中には今の基準で精査すると用量設定が適切とは言えないものも存在します。
抗精神病薬でそれに当てはまるのが、バルネチール(スルトプリド)だと言われています。

バルネチールの添付文書記載の用量

バルネチールの添付文書を参照すると、用量は以下のように記載されています。

スルトプリドとして,通常,成人1日300~600mgを分割経口投与する。なお,年齢・症状により適宜増減するが,1日1,800mgまで増量することができる。

しかし、バルネチールは25㎎程度の服用でドパミン受容体占有率70%に達し、添付文書記載の300㎎超では占有率80%を超えてしまい、アカシジアが出やすくなってしまいます。

使用頻度は減っているものの十分な注意を

バルネチールは1989年に開発された古い薬です。
現在では、使用頻度も減っており処方を見かけることは減ってきています。

ですが、とても効果の強い薬であり、錐体外路症状が起こっていないかのモニタリングが必要な薬になります。
添付文書の用量に準じた処方であっても、副作用の発現がないかどうか、患者さんへの聞き取りが重要だと考えます。

The following two tabs change content below.
rina

rina

都内薬局に勤務する現役薬剤師。 勉強会や患者さんとの会話を学びの種にしてブログを運営。 現在、1年間の長期休暇をいただき、海外生活中。