ミネブロ(エサキセレノン)とセララ(エプレレノン)とアルダクトン(スピロノラクトン)は、ともにミネラルコルチコイド受容体をブロックして利尿作用を示し、血圧を下げる働きを持ちます。
これらにはどのような違いがあるのか、今回の記事でまとめます。
新薬のミネブロについては、こちらの記事で副作用や飲み方についてまとめています。
構造式の違い
3つの薬の構造式を比較すると、エプレレノンとスピロノラクトンにはステロイド骨格があります。
ミネブロにはステロイド骨格がありません。
ステロイド骨格を持っていると、体内でホルモンとして作用してしまう可能性が高くなります。
このため、エプレレノンとスピロノラクトンでは女性化乳房の副作用が報告されていますが、ミネブロでは起こりづらくなっています。
ステロイドホルモンの選択性の違い
3つの薬剤では、ミネラルコルチコイド受容体(MR)、グルココルチコイド受容体(GR)、アンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)に対する親和性が異なります。
IC50(nM) | ||||
MR | GR | AR | PR | |
エサキセレノン | 9.4 | >10,000 | >10,000 | >10,000 |
スピロノラクトン | 36 | 764 | 133 | 1200 |
エプレレノン | 713 | 3060 | >100,000 | >100,000 |
スピロノラクトンは4種類の受容体すべて、エプレレノンはミネラルコルチコイド受容体とグルココルチコイド受容体、エサキセレノンはミネラルコルチコイド受容体のみに親和性が高いことが分かります。
セララやアルダクトンの通常用量が50㎎なのに対し、ミネブロは2.5㎎であるのは、この選択制のおかげと思われます。
薬価と使用経験
アルダクトンは、1978年から使用されている薬で、他の2つよりも歴史の古い薬です。
新しい薬とともに、現在も一定数処方されている現役の薬です。
多くの人に使われ、効果や副作用が明らかになっているという利点があります。
また、アルダクトンは古い薬であるため、薬価が安く設定されています。
ジェネリック医薬品も発売されており、こちらを選択した場合にはダントツで経済的な薬といえます。
薬価 | ジェネリックの有無 | |
ミネブロ錠2.5㎎ | 41.2円 | 有(6.3円) |
アルダクトンA錠50mg | 89.9円 | 無 |
セララ錠50㎎ | 85.6円 | 無 |
共通点、違いの両方を認識しよう
3つの薬はともに、カリウム保持性の利尿作用を有し、血圧を下げる効果が期待できます。
腎機能の低下している患者については、どの薬も慎重投与が必要ですし、高カリウム血症の副作用は3種類すべてで報告されています。
薬個々の違いとともに共通点も認識して、服薬指導することが大事だと思われます。

rina

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