今回の記事では、子宮筋腫治療薬の新薬『レルミナ』についてまとめます。
目次
レルミナとは?
レルミナとは、2019年3月に販売開始された子宮筋腫治療の新薬です。
GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)のアンタゴニストとして働き、下垂体からのFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)の分泌を阻害します。
これにより、卵巣におけるエストラジオールとプロゲステロンの分泌を阻害して、子宮筋腫による過多月経、下腹部痛、貧血、腰痛などの症状を改善します。
現在まで、GnRHアンタゴニストは注射剤としてしか販売されていなかったため、初めての内服剤になります。
GnRHアゴニストとの違いは?
今まで発売されてきたブセレリンやゴセレリン、リュープロレリンなどのGnRHアゴニストは、GnRH受容体を過剰に刺激することで、受容体の数がダウンレギュレーションを起こし、最終的に排卵や卵胞の成長を抑制します。
ですが、GnRH受容体を刺激するため、ダウンレギュレーションを起こすまでには一過性に反応が激しくなり、FSHやLHの分泌が増加し、それらの反応による症状も悪化させてしまうという欠点(フレアアップ)があります。
GnRHアンタゴニストは、GnRH受容体を競合阻害するため、フレアアップの危険性がないことが利点になります。
レルミナの飲み方は?
1日1回40㎎を食前に服用します。
食後では吸収が下がってしまうため、食前服用が定められています。
胎児の死亡率の上昇、胎盤通過性が動物実験で報告されているため、妊娠している可能性のある女性には使用することができません。
妊娠の可能性を完全に否定するため、必ず生理初日~5日目に飲み始めるように定められています。
骨量低下の副作用が報告されているため、使用できる期間は6か月までになっています。
レルミナの副作用
レルミナを服用した5%以上にみられた副作用は、ほてり、不正子宮出血、月経過多、頭痛、多汗症でした。
レルミナの服用により、女性ホルモン(血清中エストラジオール)の濃度は閉経レベルにまで低下させられます。
更年期障害の女性に現れやすい、ホルモンの乱れを原因と思われる副作用が挙げられています。
また、6カ月の使用期間制限があるように、骨密度の低下が見られます。
骨密度は6か月間で4%程度の低下が見られているという報告があります。
レルミナ服用中の月経は?
レルミナ服用中には、女性ホルモンのレベルが大きく低下させられるため、経血量は大幅に減少し、服用後6週間で半数の方は生理が止まります。
12週間目までには7割の方で生理が止まります。
ですが、薬の服用をやめれば平均40日程度で月経が回復します。
レルミナの投与日数制限はいつ解除される?
レルミナは新薬であるため、2019年8月現在は14日間の処方日数制限がかかっています。
2020年2月末までこの処方日数制限は続くものと思われます。
一包化や粉砕は可能か?
レルミナはフィルムコーティング錠であり、粉砕は勧められません。
湿気に弱い記載はないため、一包化は可能と思われます。

rina

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