てんかんについて、服薬指導の際に役立つ情報についてまとめました。
目次
てんかんとは?
てんかんとは、脳が異常に興奮することにより、けいれんや意識の消失の発作が起きる疾患のことをいいます。
日本には約100万人のてんかん患者がいると推定されており、100人に1人の割合で発症していることになります。
決して稀な病気ではありません。
発作として、けいれんや意識の消失が有名ですが、視力や聴力、嗅覚などの異常や胃のむかむかなどてんかんを連想しづらいような症状が出る人もいます。
てんかんを発症しやすい年齢は?
20歳未満および70歳以上で発症率が高いという統計があります。
いずれも発症の原因は不明であることが大多数ですが、それに続く原因が小児では先天性のもの、高齢者では脳血管性のものとなっています。
発症の年齢によって、てんかんの原因は異なります。
てんかんは治るの?
てんかんは発作がおこらないのが当たり前の病気です。
運転やお風呂など、発作の起こるタイミングによっては命に危険を及ぼしますし、脳の異常な興奮は体にも負担をかけます。
発作が起きたときだけに薬を飲めばいいといったものではなく、常日頃から予防のために薬を飲む必要性があります。
発作が起きない時期が続けば、薬の減量や中止をすることもできます。
だんだんと量を減らしていって中止する薬も多いですので、自己判断で中止するのは危険です。
てんかんの治療は効果があるの?
てんかんの治療は、主に薬物治療と外科手術です。
てんかんの薬を1種類使用すると、約50%の人で今まで起こっていた発作が抑えられる(寛解)と言われています。
2種類では60%、3種類で65%、4種類で70%が寛解状態になると言われています。
外科手術はあまり一般的ではなく、てんかん患者の1%未満のみで行われています。
部位によって寛解率は異なり、25~70%と報告されています。
脳に原因がある症候性てんかんでは、原因の見られない特発性てんかんよりも寛解しづらいと言われています。
てんかん薬は用法用量に注意
てんかんの薬では、添付文書に記載されている適応とガイドラインの推奨内容が異なっている場合があります。
添付文書では、他の薬で効果がなかった場合にのみ使えると記載されている薬が、ガイドラインで第一選択薬として記載されている場合があります。
保険が適応にならなくなる可能性がありますので、薬剤師は処方医の意向をしっかり確認することが必要です。
発作はどういうときに起こるの?
てんかんの発作は、いつ起きるかわからないと言われていますが、発作が起きたタイミングについて聞き取りをすると以下のようなことが原因として考えられるそうです。
・睡眠不足
・過労
・ストレス
・飲み忘れ
・薬の変更
睡眠不足や疲労が発作の原因になるようですので、普段から生活習慣を整えておくことが大事です。
発作が起きたときに家族がすべきこと
発作中にケガをしないようにする
発作が起きているときに、けがをしないよう近くにある壊れ物や落ちやすい場所にあるものなど危険なものを片付けます。
安全な場所で発作が治まるまで見守ってあげてください。
もし入浴中であれば、おぼれてしまわないように浴槽の栓を抜いてください。
スマホで動画を撮る
家族が苦しんでいるときに、動画を撮るなんて不謹慎だ!という声が出そうですが、発作の様子の記録は医師の診断に役立ちます。
病院で発作を起こすことは、滅多にありませんので、医師が発作の様子を見ることはできません。
けいれんを起こした際に、口をくちゃくちゃするなど予兆があるのか、いきなりけいれんを起こしたのかなど、発作の前後の様子は、てんかんの種類を見極める大きな助けになります。
発作を起こしてしまった時こそ、冷静になってスマホを構えてください。
てんかんの人は運転していいの?
てんかんの患者が運転免許を取得するためには、医師の診断が必要です。
運転に支障のある発作が2年間ないことが条件で、悪化の恐れがないことが証明されれば、運転が認められます。
睡眠中に発作がある場合は2年、運転に支障のない発作がある場合には1年の経過観察が必要です。
その後に悪化のおそれがないことが証明されれば、運転が認められます。
てんかんの方が事故を起こすリスクは、全体と比べると2年間発作のない人で1.16倍、半年発作のない人で1.38倍と高めです。
ですが、運転の荒い世代の20代男性の群では1.7倍、75歳以上の高齢者では2.78倍と、てんかんの方よりリスクが高くなっています。
一時期てんかん発作で事故を起こした方がニュースで話題になっていましたが、世間のイメージよりは事故率も低いようです。

rina

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