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ラミクタールとは?
ラミクタールは、2008年12月に発売されたてんかんの薬で、有効成分がラモトリギンです。
2018年に再審査が終わり、ジェネリック医薬品も発売されています。
Naイオンチャネルを抑制し、グルタミン酸の遊離を抑えることにより、痙攣をを抑えると考えられています。
現在、てんかんと双極性障害に適応が認められています。
ラミクタールは2015年に皮膚症状の副作用について、ブルーレターが出されています。
今回の記事では、ラモトリギンによる皮膚症状の副作用についてまとめていきます。
ラモトリギンで皮膚症状が起こりやすい条件
ラモトリギンでは、皮膚の副作用が出やすいと報告されています。
文献によって異なりますが、5~25%の割合で報告されており、欧米人よりも特に日本人で出やすい副作用と言われています。
特に副作用の出やすい条件をお伝えします。
用法用量を超えて使用する
ラモトリギンを添付文書の用法用量を超えて使用した場合に、副作用が出やすいことが報告されています。
高用量で用いるだけでなく、増量するタイミングを早めることによっても副作用が出やすくなります。
通常の開始用量は25mgですが、早く効果を出そうとして200㎎から開始した場合には、その40%が何らかの副作用を発現して中止になってしまったという報告もあります。
添付文書上の用量を超えて副作用が出てしまった場合、PMDAの副作用被害救済制度も利用できなくなってしまうので注意が必要です。
バルプロ酸と併用している
バルプロ酸はてんかんの治療に広く使われている薬です。
バルプロ酸は、ラモトリギンのグルクロン酸抱合を阻害するため、併用によってラモトリギンの血中濃度が高くなります。
このため、用法用量を超えて使用してしまうのと同じ状況になり、副作用が出やすくなります。
バルプロ酸併用時には、添付文書用量内であっても用量を見直すことが必要です。
薬疹の既往歴がある
他の薬で湿疹がでたことのある人では、出たことのない人に比べて、ラモトリギンで皮膚症状の副作用の出るリスクが2倍以上になります。
特にカルバマゼピンやフェニトインで薬疹が出た方では、リスクが高くなるとの報告があります。
13歳以下の小児
小児患者では、成人患者と比べて薬疹が出やすいことが報告されています。
悪化してSJSになってしまうリスクも高いです。
投与開始8週間以内
ラモトリギンによる皮膚症状は、開始後5日から8週間までで報告が多くなっています。
薬を始めたばかりの時期は特に注意が必要です。
ラモトリギンの用量調整で注意すること
ラモトリギンの皮膚症状の副作用を出さないために大事なのは、用量調整をしっかり行うことです。
他の薬と併用している際や、妊娠出産時には特に注意が必要です。
ラモトリギンと相互作用のある薬
同じくてんかんの薬として使われる薬には、ラモトリギンと相互作用のある薬があります。
バルプロ酸はグルクロン酸抱合に関連するため、ラモトリギンの血中濃度を上げる作用があります。
逆にフェニトインは、CYPを誘導して、ラモトリギンの血中濃度を下げる作用があります。
血中濃度だけでなく、半減期にも影響を及ぼします。
妊娠出産後は用量変化の可能性あり
ラモトリギンはグルクロン酸抱合により代謝されますが、妊婦ではグルクロン酸抱合や腎血流量が増えるため、代謝量が増えて血中濃度が下がりやすくなります。
このため、妊娠とともにてんかん薬は増量される可能性があります。
出産後は代謝能力がもとに戻るため、ラモトリギンは減量されることが多いです。
妊娠前にTDMを行い、発作がコントロールされているときの血中濃度を把握しておくとスムーズに用量調整が行えます。
休薬後は開始用量から再開するべき?
ラモトリギンで皮膚症状を出さないためには、慎重に増量していくことが必要です。
なんらかの理由で中止した場合には、初期用量に戻って投与を開始することも必要です。
休薬期間が半減期の5倍以上になった場合には、初期用量に戻ることが勧められています。
通常の半減期は35時間程度ですが、バルプロ酸を併用すると倍の70時間、フェニトインを併用すると13時間となります。
併用薬にも注意して計算することが求められます。
フェニトインと併用している際には、半減期の5倍の時間は65時間で約2日半となり、とても短い期間ですので注意が必要です。
重篤な副作用を防ぐために…
ラモトリギンによる副作用を防ぐために最も大事なのは、適切な用量で用いることです。
効果の発現を焦って、一度に増量するのは危険です。
また、薬疹が出てしまった場合には、すぐに投与を中止することが、SJSやTENなどの重篤な副作用に発展するのを防ぐことに繋がります。
薬剤師として、用量チェックをきちんと行っていきたいものです。

rina

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